使わなくなったモバイルバッテリーは、単なる廃棄物ではなく都市鉱山と呼ばれる資源の一部になります。
なぜ鉱山と呼ばれるのか、その理由を知り正しく処分することで資源を有効活用できるのです。本記事ではモバイルバッテリーの主な資源、リサイクルのために心掛けたいポイントを解説するため、ぜひ参考にしてください。
目次
モバイルバッテリーはなぜ“都市鉱山”と呼ばれるのか

モバイルバッテリーは、使い終わったあとも金属資源を含むため、都市鉱山の一部として考えられます。
都市鉱山という言葉を知ると、不要品を単なる廃棄物ではなく、資源として見直しやすくなります。まずはモバイルバッテリーをリサイクルする意味を以下で詳しく解説します。
モバイルバッテリーにはリチウムイオン電池が使われている
多くのモバイルバッテリーには、繰り返し充電できるリチウムイオン電池が使われています。
リチウムイオン電池は、スマートフォンやノートパソコン、ワイヤレスイヤホンなどにも使われる小型充電式電池です。軽くて持ち運びやすく、大きな電力をためられるため、日用品にも広く使われています。
小型二次電池には、コバルトやニッケルなど、再利用できる貴重な金属資源が含まれています。 つまりモバイルバッテリーを回収に出す行動は、これらの金属資源を再び使う入口として重要です。
使い終わったモバイルバッテリーは、燃えるごみや不燃ごみに混ぜず、資源として扱う意識を大切にしましょう。
小さなバッテリーにも資源価値がある
モバイルバッテリーは小型でも、金属資源としての価値があります。
一つひとつに含まれる金属量は多くありません。しかし、家庭や職場から集めることで、コバルトやニッケルなどの回収につながります。
小型家電や充電式電池に含まれる金属は、国内で安定して確保しにくいものも多くあります。レアメタルを含む鉱物資源は産業を支える重要な資源ですが、埋蔵量には限りがあり、安定供給に向けた取り組みが求められています。
つまり使わなくなった小さなバッテリーを回収に出す行動は、資源循環を支える身近な取り組みになります。
モバイルバッテリーから回収できる主な資源

モバイルバッテリーからは、電池材料や金属部品に使われている資源を回収できます。
特に、コバルトやニッケルは小型充電式電池の再資源化で重要な金属です。
・コバルト:リチウムイオン電池に使われる重要資源
・ニッケル:電池や金属材料として需要がある資源
・銅・アルミ・鉄:身近だが回収価値のある金属
上記の資源ごとの役割を、詳しく解説します。
コバルト:リチウムイオン電池に使われる重要資源
コバルトは、リチウムイオン電池の材料として使われる重要な金属です。
電池の性能や安定性に関わる金属であり、スマートフォンやモバイルバッテリーなどの充電式製品を支えています。一方でコバルトは海外資源に頼る面が大きく、安定確保が課題になりやすい資源です。
不要になった小型二次電池からコバルトを回収できれば、新たな資源採掘に頼る量を抑えるきっかけになるのです。モバイルバッテリーの回収は、資源を国内で循環させる取り組みにもつながります。
コバルトを含む電池を安全に回収するためにも、通常の廃棄物に混ぜない出し方が重要です。
ニッケル:電池や金属材料として需要がある資源
ニッケルも、充電式電池や金属材料として需要がある資源です。
小型二次電池からコバルトやニッケルなどの金属が取り出され、再利用されています。リサイクルによって回収されたニッケルは、限りある資源を有効に使ううえで重要です。
モバイルバッテリーを不適切に捨てると、発火リスクがあるだけでなく、回収できたはずの金属資源も失われてしまうのです。資源として活かすには、指定された回収方法を守るよう心掛けましょう。
銅・アルミ・鉄:身近だが回収価値のある金属
使用済み小型家電には金、銀、銅などの貴金属やレアメタルが含まれます。
モバイルバッテリーにも、レアメタル以外にも銅、アルミ、鉄などの金属が使われています。
これらは身近な金属ですが、回収して再資源化すれば、新たな原料として活用しやすくなります。特に銅やアルミは、電気を通す部品や外装、内部構造などに使われています。
モバイルバッテリーも小型家電と同じように、金属をまとめて回収する視点が大切です。
身近な金属も、集めて適切に処理すれば、資源循環の中で再び役立ちます。
なぜモバイルバッテリーは普通ごみに出してはいけないのか

モバイルバッテリーを普通ごみに出してはいけない理由は、発火や火災の危険があるためです。
リサイクルできる資源である一方、捨て方を誤ると以下のような収集や処理の現場で大きな事故につながります。
破砕・圧縮で発火するおそれがある
モバイルバッテリーは、強い圧力や衝撃を受けると発火するおそれがあります。
ごみ収集車では、廃棄物を効率よく運ぶために圧縮が行われています。また処理施設でも、不燃ごみや粗大ごみを破砕する工程があります。このとき、モバイルバッテリーの内部電池が傷つくと、発熱や発火につながるリスクが高まるのです。
実際に廃棄物処理施設や収集運搬車両で、リチウムイオン電池等に起因する火災事故が毎年報告されています。中には大きな火災、人的被害に発展するケースも起こり得るのです。
モバイルバッテリーは便利な製品ですが、処分時には危険物として扱う意識を大切にしましょう。
ごみ収集車や処理施設の火災につながる可能性がある
モバイルバッテリーを普通ごみに混ぜると、ごみ収集車や処理施設の火災につながる可能性があります。
収集車の中で発火すれば、作業員の安全を脅かします。処理施設で火災が起きると、設備の停止や地域のごみ処理への影響も避けられません。
リチウムイオン電池による火災防止の啓発を行い、家庭からの適切な排出を呼びかけています。誤った廃棄は、個人の廃棄処理だけで終わらない問題と言えるのです。
膨らみ・発熱・破損があるものは特に注意が必要
膨らみ、発熱、破損があるモバイルバッテリーは、特に慎重に扱う必要があります。
本体が膨らんでいる、充電中に熱くなる、落下で変形した、水に濡れたなどの異常がある場合、内部の電池が傷んでいる可能性があります。
こうした状態のバッテリーは、通常の回収ボックスへ入れると、保管や運搬の途中で事故につながる原因です。
該当する場合は、自己判断で出さず、自治体やメーカーの案内を確認してください。異常のあるモバイルバッテリーほど、早めに相談して安全な処分方法を選びましょう。
モバイルバッテリーはどうリサイクルされる?

モバイルバッテリーは、回収、選別、再資源化という流れでリサイクルされます。
安全に資源として活かすには、家庭で正しい回収ルートに出すことが必要です。
回収拠点や自治体を通じて集められる
モバイルバッテリーは、家電量販店や自治体の回収ルートを通じて集められます。
家電量販店だけでなく、自治体で回収できるケースもあるため、モバイルバッテリーの回収方法は、自治体のごみ出しの手引きや、公式サイトなどの情報をチェックしてください。
ただし回収方法やタイミングは時期によって異なるケースもあるため、必ず処分前に最新の案内を見たうえでルールを守りましょう。
電池の種類や状態を確認して選別される
回収されたモバイルバッテリーは、電池の種類や状態を確認したうえで選別されます。
小型充電式電池には、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニカド電池などがあります。電池の種類によって処理方法が異なるため、回収後の選別が欠かせません。
リサイクルマークや電池の種類の確認に加えて、破損、水濡れ、膨張などの異常がないかも条件として案内しています。出す側も、回収前に本体の状態を確認しておく必要があります。
異常があるモバイルバッテリーは通常の回収に出さず、自治体やメーカーへ相談しましょう。
金属資源として再利用される
選別された小型充電式電池は、金属資源として再利用されます。
不要になった小型二次電池からカドミウム、コバルト、ニッケルなどの金属が取り出され、新たな家電などに再利用されます。
金属資源を回収できれば、新しい製品や材料の製造に役立ちます。国内で使い終わった製品を国内の資源として扱う視点は、資源の安定確保にもつながります。
家庭でできるモバイルバッテリーの正しい出し方

モバイルバッテリーを回収に出す前に、守りたい家庭でのルールがあります。
特に発火などの重大な事故を防ぐために、以下のような安全な出し方を知り、正しく処分しましょう。
燃えるごみ・不燃ごみに混ぜない
モバイルバッテリーは、破損したものであっても決して燃えるごみや不燃ごみに混ぜないでください。
リチウムイオン電池を含む製品は、収集車で圧縮されたり、処理施設で破砕されたりすると、発火するおそれがあります。普通ごみに混ぜると、収集作業員や処理施設で働く人の安全にも関わります。
安全に処分するには、自治体や回収拠点のルールに従う必要があります。もっとも手軽な方法は、家電量販店の回収ボックスへ持ち込むことです 。
ただし、回収ボックスによってはモバイルバッテリーの液漏れ、膨張などの状態次第では回収ができないケースもあります。必ず回収方法を確認のうえ、処分してください。
端子部分をテープで絶縁する
モバイルバッテリーを出す際は、端子部分をテープで絶縁する対応が必要です。
これは端子が金属やほかの電池に触れると、ショートして発熱や発火につながる場合があるためです。端子部分にビニールテープなどを貼ることで、接触による事故を防ぎやすくなります。
ただしバッテリー全体をテープで覆ってしまうと、反対にリサイクルにあたっての異物混入や作業員の負担増加につながります。
あくまでも端子部分のみテープを巻いて、むき出しになっていない状態にする必要があります。小さな処置ですが、回収や運搬の安全性を高めるために大切です。
分解せず回収ルールに従って出す
モバイルバッテリーは、分解せずに回収ルールに従って出してください。
内部の電池を自分で取り出そうとすると、電池を傷つけて発熱や発火につながるおそれがあります。特に薄型や膨張した製品は、無理に開ける行為は非常に危険です。
中のリチウムイオン電池を取り出そうとせず、購入時のモバイルバッテリーの状態で手放すことを心がけてください。また、モバイルバッテリーで使用した充電ケーブルは、回収対象外のケースがほとんどです。
忘れずにコードを外した状態で、バッテリー部分のみを処分しましょう。またコードは自治体のルールに従って処分してください。
まとめ
モバイルバッテリーには貴重な金属が使用されており、正しくリサイクルすると金属の再利用に役立ちます。国内で十分に確保することが難しいレアメタルや金などは特に都市鉱山として注目されているのです。
また、モバイルバッテリーは資源であると同時に熱によって爆発や発火リスクのある危険物でもあります。だからこそむやみに処分せず、家電量販店の回収ボックスに出すなど、正しい処分方法を心がけてください。
一人ひとりが正しく扱うことが、重大な事故の発生を防ぎ、循環型社会の実現につながります。
