お役立ちコラム
2026.09.10

災害廃棄物の処理方法

災害廃棄物の処理方法

地震や台風、水害が起きると、壊れた家具や家電、畳、がれきなどが一度に大量に発生します。

これらは普段の生活廃棄物とは異なり、自治体が指定する場所や方法に従って出す必要があるのです。分別せずに出すと、処理が遅れるだけでなく、火災やけが、有害物質による周囲への被害にもつながりかねません。

本記事では、災害廃棄物の種類や処理の流れ、仮置場で分別が必要な理由を解説します。家庭でできる備えや、災害時に廃棄物を出す際の注意点も確認していきましょう。

目次

災害廃棄物とは?通常の廃棄物との違い

災害廃棄物とは?通常の廃棄物との違い

災害廃棄物とは、地震や水害、台風などで発生するごみを指します。

普段の生活廃棄物と比べて量が多く、家具や家電、がれき、泥付きの廃棄物など種類も複雑です。まずは、通常の廃棄物との違いを確認していきましょう。

災害によって一度に大量発生する廃棄物

災害廃棄物は、災害によって短期間に大量発生する点が特徴です。

地震では倒れた家具や割れた食器、損壊した建物のがれきが出ます。水害では、泥や水を含んだ畳、布団、家電、衣類などが一気に増えます。

普段なら少しずつ処分できるものでも、災害時は地域全体で同時に発生します。そのため、早い段階から分別と搬出の流れを整える必要があります。

生活廃棄物とは処理方法が異なる

災害廃棄物は、通常の可燃ごみや不燃ごみと同じ方法では処理できません。

生活廃棄物は決められた曜日に集積所へ出すのが基本です。一方、災害廃棄物は自治体が設ける仮置場へ運び、種類ごとに分けて処理されます。

災害で発生した可燃物、金属くず、家電、木くず、コンクリートがらなどを混ぜると、後の処理に時間がかかる原因です。自治体の案内を確認し、指定された区分で出しましょう。

早く片付けるだけでなく安全な処理が重要

災害後は早く片付けたい状況になりますが、安全な処理を優先する必要があります。

濡れた畳や布団、生ごみを含む廃棄物を放置すると、悪臭や害虫、衛生悪化につながります。ガスボンベや電池、灯油などが混ざれば、火災や爆発の危険も高まるのです。

復旧を進めるには、迅速な搬出と安全な分別の両方が欠かせません。急いで出す場合でも、危険物や有害物は分けて扱いましょう。

災害廃棄物の主な種類

災害廃棄物の主な種類

災害廃棄物には、生活用品から建物由来のがれきまで幅広い種類があります。

種類ごとに処理方法が異なるため、片付けの前に大まかな分類を知っておくと混乱を減らせます。災害時に出やすい廃棄物を、種類ごとに見ていきます。

家具・家電・畳などの生活系廃棄物

被災した住宅から出る家具や家電、畳、布団、衣類などの生活系用品は、破損のリスクや水害によって水を吸った状態になる傾向があります。

水害では水を吸った畳や布団、泥をかぶった家電が多くなり、そのままでは処分できないケースがあるため注意しましょう。

見た目は家庭の不用品に近くても、災害時は量が一気に増えます。通常の粗大ごみとは異なるため、自治体が示す出し方に従うことが大切です。

木くず・コンクリートがら・金属くずなどの建築系廃棄物

建築系廃棄物は、倒壊家屋や損壊した建物から出る廃棄物です。

柱や板材などの木くず、コンクリートがら、瓦、金属くず、ガラス片などが含まれます。生活用品と混ざると処理しにくくなるため、仮置場で分ける必要があります。

分別できれば再資源化しやすくなります。復旧後のリサイクルにも関わる重要な作業です。

水害で発生しやすい泥付き廃棄物・混合廃棄物

水害では、泥や水分を含んだ混合廃棄物が発生しやすくなります。

豪雨や浸水のあとには、家具、畳、布団、家電、衣類、土砂などが混ざった状態になります。水分を含むごみは重く、腐敗や悪臭にもつながってしまいます。

無理に一度で片付けようとすると、けがや体調不良につながる場合があります。自治体の案内に沿って、分別と搬出の順番を確認してください。

危険物・有害物は別管理が必要

危険物や有害物は、通常の災害廃棄物に混ぜず、別に管理しましょう。

ガスボンベ、灯油、農薬、バッテリー、スプレー缶などは、火災や爆発、有害物質の漏れにつながるおそれがあります。石綿を含む可能性がある建材も、むやみに動かすと粉じんが広がる危険があります。

見た目だけで安全かどうかを判断するのは避けましょう。危険性があるものは、自治体や専門業者の案内を確認してから扱うことが重要です。

災害廃棄物の処理の進め方

災害廃棄物の処理の進め方

災害廃棄物は、被災現場から運び出したあと、仮置場で分別されます。

その後、破砕や焼却などの中間処理を経て、再資源化または最終処分へ進みます。ここでは処理の流れを順番に確認します。

1.被災現場から災害廃棄物を搬出する

まず最初に、被災現場から災害廃棄物を搬出することから始めます。

住宅、道路、公共施設などに散乱した廃棄物を撤去し、通行の確保や生活再建を進めやすくするためです。道路にがれきや大型ごみが残ったままだと、救援活動や復旧作業の妨げにもつながります。

ただし、早く運び出すために何でも混ぜると、後の処理が難しくなる原因です。搬出前に自治体の分別区分を確認しましょう。

2.仮置場で一時保管・分別する

搬出された災害廃棄物は、仮置場で一時的に保管されます。

仮置場では、可燃物、金属くず、コンクリートがら、木くず、家電などに分別されます。ここで大まかに分けておくと、焼却や破砕などの中間処理へ進めやすくなります。

仮置場は単に廃棄物を積む場所ではありません。処理を円滑に進めるための分別拠点になります。

3.破砕・選別・焼却などの中間処理を行う

分別された災害廃棄物は、種類に応じて中間処理されます。

木くずや可燃物は焼却、コンクリートがらは破砕、金属くずは資源回収に回されます。混合廃棄物は、手作業や機械でさらに選別される場合もあります。

中間処理によって廃棄物の量を減らし、再利用できる資源を取り出しやすくします。最終処分に回す量を減らす意味でも重要です。

4.再資源化または最終処分される

中間処理を終えた災害廃棄物は、再資源化または最終処分に回されます。

金属くずやコンクリートがら、木くずなどは、状態がよければ資源として活用できます。一方で、汚れや混合の程度が大きく、再利用が難しいものは最終処分場へ運ばれます。

この時に細かく正確に分別できるほど、再資源化できる量も増える傾向にあります。だからこそ災害廃棄物をできるだけ不要物にしないためにも、初期段階の分別が大切です。

実際の災害廃棄物処理事例

令和元年8月豪雨災害時の当社による処理対応

当社では、令和元年8月豪雨災害の際、佐賀県杵島郡大町町の災害廃棄物処理業務を行いました。
大町町民グラウンドに設置された仮置場の管理・運営をはじめ、災害廃棄物の受け入れや分別、破砕、運搬・処分まで一連の業務を実施しました。
処理した災害廃棄物は、可燃ごみや粗大ごみ、畳、不燃物、汚泥など合計1,366.05tにのぼります。
また、処理施設への受け入れ条件に対応するため、移動式破砕機を活用して廃棄物を破砕。処理先の選択肢を広げることで、災害廃棄物の迅速な処理につなげました。
令和元年11月2日に災害廃棄物の処理を完了し、その後、仮置場の復旧も行いました。
そのほか、大町町家屋解体廃棄物、廃棄稲わら、農業用ハウス解体ごみ、江北町の災害廃棄物の処理に係る業務に関しても対応しました。
このように災害時には、廃棄物の収集・運搬だけでなく、仮置場の管理や分別、破砕、処分、復旧まで、状況に応じた対応が必要となります。

参照:当社 災害廃棄物処理業務 パンフレット(A4)

仮置場での分別が重要な4つの理由

仮置場での分別が重要な4つの理由

仮置場での分別は、災害廃棄物処理のスピードと安全性を左右します。

分別ができていれば、リサイクルできる資源を取り出しやすくなり、事故や衛生トラブルも防ぎやすくなります。

仮置場で分別が必要な理由を確認していきます。

分別で処理スピードが上がる

仮置場で分別すると、災害廃棄物の処理が進みやすくなります。

可燃物、不燃物、金属、木くず、家電、コンクリートがらが混ざったままだと、処理施設へ運びにくくなります。種類ごとに分かれていれば、焼却、破砕、資源回収へ振り分けやすくなります。

災害時は処理量が多いため、少しの混入でも現場の負担が大きくなります。搬入時点の分別が、早期復旧を支えます。

リサイクル資源を回収しやすくなる

仮置場で分別すると、リサイクル資源を回収しやすくなります。

金属くず、木材、コンクリートがらなどは、状態がよければ再資源化できます。混合状態のままでは汚れや異物が増え、資源として使えるものまで処分に回る可能性があります。

災害廃棄物をすべて不要物にするのではなく、資源として戻す視点が必要です。分別は、そのための最初の作業になります。

危険物の混入を防げる

仮置場での分別は、危険物の混入を防ぐためにも重要です。

ガスボンベ、スプレー缶、電池、灯油、薬品類などが一般の災害廃棄物に混ざると、火災や爆発の原因になります。破砕や圧縮の工程では、特に事故につながりやすくなります。

危険物は見つけた時点で分け、自治体の指示に従って出してください。安全な処理を進めるために欠かせない対応です。

悪臭や衛生トラブル予防になる

仮置場で適切に分別すると、悪臭や衛生トラブルを抑えやすくなります。

生ごみ、泥付き廃棄物、濡れた畳、布団などをほかの廃棄物と混ぜて放置すると、腐敗やカビ、害虫の発生につながります。特に夏場や水害後は、衛生面の悪化が早く進みます。

においや害虫を広げないためには、腐敗しやすいものを分けることが重要です。これは仮置場の環境を守ることにもつながります。

家庭でできる災害廃棄物処理への備え4選

家庭でできる災害廃棄物処理への備え4選

災害廃棄物の処理は、自治体や処理業者だけの問題ではありません。

家庭で事前に出し方や危険物の管理を確認しておくと、災害後の混乱を減らせます。ここでは家庭でできる備えを、以下で解説します。

自治体の災害廃棄物の出し方を事前に確認する

災害廃棄物の出し方は、平時から自治体の情報を確認しておくことが大切です。

仮置場の場所、受け入れ品目、搬入時間、分別区分は自治体によって異なります。地震と水害でも、出やすい廃棄物の種類は変わるのです。

災害発生後は通信状況が悪くなったり、情報が変わったりする場合があります。平時に自治体サイトや廃棄物分別アプリを確認しておくと、落ち着いて行動しやすくなります。

危険物や電池類は普段から分けて保管

危険物や電池類は、普段から分けて保管しておくと災害時の混入を防げます。

スプレー缶、カセットボンベ、モバイルバッテリー、乾電池、灯油、農薬などは、災害廃棄物に混ざると事故の原因になります。片付けで慌てていると、家具や家電と一緒に出してしまうおそれがあります。

使わない危険物は、平時の回収ルートで処分しておきましょう。日頃の整理が、災害時の安全につながります。

浸水時は濡れたものをむやみに積み上げない

浸水後は、濡れた畳や布団、家具をむやみに積み上げないよう注意が必要です。

水を吸った廃棄物は非常に重く、持ち上げると腰や足を痛めるおそれがあります。長く放置すると、カビや悪臭も発生しやすくなります。

急いで外へ出す前に、自治体の搬出方法や仮置場の受け入れ状況を確認してください。安全な動線を確保し、無理のない範囲で片付けましょう。

片付け時はけが・感染症・粉じん対策を行う

災害後の片付けでは、けがや感染症、粉じんへの対策が必要です。

割れたガラス、釘、ささくれた木材、泥、カビなどがあるため、素手やサンダルで作業すると危険です。厚手の手袋、長靴、マスク、長袖、長ズボンを使い、肌の露出を減らしましょう。

粉じんが舞う場所では、無理に作業を続けない判断も必要です。安全を確保してから、少しずつ片付けを進めてください。

災害廃棄物を出すときの4つの注意点

災害廃棄物を出すときの4つの注意点

災害廃棄物を出すときは、自治体の指示に従うことが基本です。

誤った場所や方法で出すと、交通や復旧作業を妨げ、処理現場の負担も増やしてしまいます。ここでは災害時に守りたい注意点を確認します。

自己判断で道路や空き地に出さない

災害廃棄物は、自己判断で道路や空き地に出さないでください。

道路上に廃棄物を置くと、緊急車両や復旧車両の通行を妨げます。空き地や公園などに勝手に積むと、周辺住民とのトラブルや収集の混乱につながります。

指定場所、出せる品目、受付時間を確認し、決められた方法で出しましょう。

危険物・有害物は通常の災害廃棄物に混ぜない

危険物や有害物は、通常の災害廃棄物に混ぜてはいけません。

ガスボンベ、灯油、農薬、薬品、バッテリー、石綿の可能性がある建材などは、専用の相談窓口や処理ルートの確認が必要です。ほかの廃棄物に混ざると、火災や健康被害につながります。

危険か迷うものは、通常の仮置場へ持ち込む前に自治体へ確認しましょう。

便乗廃棄物を出さない

災害廃棄物の回収では、便乗廃棄物を出さないことが大切です。

便乗廃棄物とは、災害とは関係のない粗大ごみや不用品を、災害廃棄物に紛れ込ませて出すものです。便乗廃棄物が増えると、本当に処理が必要な被災廃棄物の搬出が遅れます。

被災地の処理負担を増やさないため、災害と関係のないものは通常ルールで処分してください。

最新の自治体情報を確認する

災害廃棄物を出す前には、最新の自治体情報を確認してください。

災害時は、仮置場の場所、受け入れ品目、受付時間、搬入方法が途中で変わる場合があります。初日に案内された内容が、翌日以降も同じとは限りません。

自治体サイト、防災無線、広報車、公式SNS、廃棄物分別アプリなどを確認し、最新の指示に従いましょう。

まとめ

災害廃棄物は、地震、水害、台風などによって一度に大量発生する廃棄物です。

正しい分別と安全な出し方を一人ひとりが守ることで、処理の遅れや事故を防ぎ、災害後の生活を再建する足がかりになるのです。

家具、家電、畳、がれき、泥付き廃棄物、危険物など種類が多く、通常の生活廃棄物とは処理方法が異なります。復旧を急ぐ場面でも、自治体の指示に従って分別し安全に搬出しましょう。

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