エアコンの処分は、粗大ゴミとして出せないことを知っていますか?
エアコンはゴミではなく、リサイクルする家電として「家電リサイクル法」に基づいた処分方法を選ぶ必要があるのです。
この記事ではエアコンの処分方法の種類や、気になる処分にかかる費用をご紹介します。現在の環境や希望に合った処分方法を探してみてください。
家庭用エアコンはリサイクル家電4品目に定められている
家庭用エアコンは、家電リサイクル法によるリサイクル家電4品目に数えられています。
家電リサイクル法は2001年4月1日から施行された「特定家庭用機器再商品化法」のことです。これは家庭で使われてきたエアコンをメーカーが引き取って、再利用できる部品や材料を分解し、回収する目的があります。
エアコンを製造する家電メーカーは、総重量の80%以上をリサイクルすることと、エアコンに含まれる冷媒フロンという環境破壊につながるフロンガスの回収と処理を行っているのです。
ほかにも家電リサイクル法は、テレビ、冷蔵庫(冷凍庫)、洗濯機・衣類乾燥機の3品目があります。
家電リサイクル法対象となるエアコンとは?
家電リサイクル法の対象になるのは、すべてのエアコンではありません。
下記のエアコン以外は、リサイクルではなく粗大ゴミとして処分するため、リサイクルが必要かどうか判断しましょう。
・壁掛け形
・ウインド形
・床置き形
エアコンの定番である横長デザインの壁掛け形のほか、窓の隙間に取り付けるウインド形、そして暖房器具のように床に設置するエアコンもリサイクル対象です。
一方で業務用エアコンは回収方法のルールや基準が異なるため、業務用としての処理が必要です。
エアコンをリサイクルする必要性
エアコンをリサイクルする理由は、冷却に使われるフロンガスが環境破壊につながると問題視されたことがきっかけです。
フロンガスは地球温暖化の元となる温室効果ガスです。リサイクルによってフロンガスの漏洩を減らし、きちんと回収されることで大気中への放出抑制につながるのです。
今は家電リサイクル法により、エアコン1台あたり平均678gのフロンが漏れずに回収されています。
この678gのフロンガスは、二酸化炭素にすると約1.3トンにも該当する温室効果があります。
大気中のフロンガス放出が減り、メーカーによるリサイクルの結果、不法投棄の対策にも役立てられているのです。
エアコンの処分方法6選
エアコンを処分する方法は、いろいろなやり方があります。
方法によってメリットやデメリットが異なるため、おすすめ例と共にご紹介します。
エアコンの購入店に処分を依頼する
エアコンを購入した家電量販店に、リサイクルを依頼する方法があります。
購入店を覚えている場合は、そこを経由してメーカーに引き取ってもらえるのです。自宅まで引き取りに来てもらう際には、エアコンの運搬費と、別途家電リサイクル券が必要です。
ただし、購入店がすでに閉店している場合や、リサイクル対象家電の引き取りをしていないケースもあるため、事前に問い合わせてみましょう。
エアコンの買い替え時に引き取ってもらう
エアコンを買い替える際には、古いエアコンをそのまま引き取ってもらえる可能性があります。新しいエアコンと引き換えになるため、古いエアコンのリサイクル料金と収集運搬に関する費用と、取り外しの工事費が発生します。
しかし、購入店にそのまま回収依頼ができるメリットがあります。別途リサイクルのための業者に依頼したり、持ち込む手間がかからなかったりすると、処分に手間をかけたくない方におすすめです。
自治体のリサイクルセンターに持ち込む
自治体指定のリサイクルセンターに持ち込む方法は、自力でエアコンを取り外したうえで家電リサイクル券を購入するスタイルです。
そして、自治体のリサイクルセンターに直接持っていけば、取り外し費用と回収料金をカットできます。ただし、素人がむやみにエアコンを取り外すことはある程度道具が必要など、DIYの経験がある人におすすめです。
また、重いエアコン本体を運ぶ手間がかかるため、自家用車などの運ぶための環境がない人には不向きと言えます。
いきなり知識もなくエアコンを外すと破損や事故のリスクがあるため、十分注意しましょう。
自治体のリサイクル収集サービスを依頼する
自治体のリサイクル収集サービスは、連携している回収業者に引き取ってもらう方法です。家電リサイクル券を購入し、収集運搬料金を支払うことで処分してもらえます。
回収業者の中でも自治体と提携しているところは依頼しやすいですが、場合によっては取り外し工事には対応していない可能性があります。取り外しから回収まで一貫で任せたいときには、事前に対応可能か業者を調べることが大切です。
また、自治体の中には回収業者と提携しておらず、そもそもエアコンの回収自体していない可能性があります。その際には購入した家電量販店に依頼するなど、自治体以外の方法で処分する方法を探しましょう。
リサイクルショップに買い取ってもらう
リサイクルショップはまだ使えるエアコンの場合、買い取ってもらえる可能性があります。エアコンの運搬やリサイクル料金がかからず、場合によっては買取額で黒字になるケースもあります。
ただしエアコンの買取店は限られていて、古い年式はたとえ状態が良くても買取自体できない可能性が高いです。具体的には製造から5年以内なら売却できることが多いものの、5年以上だと買取不可になる傾向があります。
特にエアコンを店頭まで運んで査定してもらう店頭買取だと、買取不可になったときに運搬にかかる時間や労力が無駄になってしまうため慎重に検討しましょう。
知人や友人に譲る
まだ使用できるエアコンの場合は、知人や友人に譲る方法があります。ただし気をつけたいのは、この場合自力でエアコンを安全に取り外す必要があることです。
また、譲る知人や友人も、自力でエアコンを取り付けるか、改めて取り付け業者を呼ぶ必要があります。エアコンの年式によっては、譲っても長く使用できない可能性があるため注意しましょう。
エアコンの処分料金の相場とは?
エアコンの処分料金は、大きく分けて「収集運搬料金」と「リサイクル料金」の2種類の料金が発生します。
また、取り外し工事や新しく付け替える場合は、さらに工事費がプラスされます。
リサイクル料金はメーカーによって指定されており、多くの自治体はあらかじめ郵便局など指定の場所で、家電リサイクル券を購入しておく必要があります。
なおエアコンの運搬に関する料金は、業者が自由に設定しているためどこに依頼するかによって、数千円の金額の違いが出ることもあります。
エアコンのリサイクル料金は990円から
家電リサイクル券センターによる、2024年のエアコンのリサイクル料金は990円、または2,000円のメーカーがほとんどです。
エアコンはテレビや冷蔵庫といった大型家電と比べて、リサイクル料金が少し安く設定されているものの、取り外し料金も加わるため総額が1万円程度になる可能性もあります。
・リサイクル料金:990円
・取り外し工事料金:5,000円前後
・運搬料金:3,000円前後
あくまでも上記は一例であり、リサイクル料金や運搬料金などがすべて込みのプランであるリサイクル業者もあります。
処分に追加料金が発生するケースもある
エアコンのリサイクルで気をつけたいのは、立地やエアコンの状態によっては取り外しなどに追加料金が発生することです。
たとえば、室外機が2階以上の高所に設置されている場合は、通常作業よりもリスクがある分工事費が高くなる傾向があります。
ほかにもエアコンが故障していると、取り外しのときに必要な冷媒ガスの回収作業が正常にできません。特殊処理が必要になる分、追加料金が発生するのです。
エアコンの種類によっても、取り外し費用やリサイクル料金が変動するため注意しましょう。
エアコンを処分するときの3つの注意点
エアコンを処分するにあたって、リサイクル時に気をつけたいポイントをご紹介します。
エアコンを自力で外すと破損の原因になる
エアコンは取り外すときに、冷媒ガスの回収が必要など特殊な作業が必要です。
エアコンの種類によっても取り外し方が異なり、むやみに外そうとすると破損の原因になります。場合によっては事故につながり、ケガなどを負ってしまう危険性まであるのです。
エアコンに関する知識がなければ、自力で取り外し作業をすることは控えましょう。特にエアコンは重量があるからこそ、うっかり床に落としてしまえば建物の損傷につながってしまいます。
自力で指定のリサイクルセンターまで持ち込みたい場合も、取り外しのみを業者に依頼するなど安全面を考慮して、プロに依頼することをおすすめします。
信頼できるリサイクル業者に依頼する
リサイクル業者に引き取りを依頼するには、信頼できるところを選ぶことが大切です。リサイクル業者の中には、エアコンの必要なパーツなどのみ抜き取り、あとは不法投棄するといった悪徳なところも報告されています。
環境破壊につながるだけでなく、不法投棄によって思わぬトラブルに巻き込まれるリスクがあります。可能であれば自治体と提携しているリサイクル業者に依頼しましょう。
事前にエアコン処分にかかる費用総額を確認しておく
エアコンの取り外しからリサイクルにかかる費用総額は、納得できるまで事前に確認しておくことが大切です。
エアコンの種類や設置状況によっては追加料金がかかるケースもあり、事前におおよその金額を出してくれる業者を選んでください。また、中には工事が終わってから高額な料金を請求してくる悪徳なリサイクル業者もあります。
事前見積もりから追加費用の発生がない業者を選ぶなど、きちんと費用総額を把握したうえで依頼することがポイントです。
まとめ
エアコンの処分方法は、買い替えやそのままリサイクルするかによって異なります。特にエアコンはゴミとして処分できない、家電リサイクル法の対象家電です。
環境配慮のために安全に取り外して、そのうえでリサイクルすることが定められているため、ゴミに出さないよう注意してください。
基本的には家電リサイクル券を購入しておく必要があるものの、買い替えなどの場合は取り外しから古いエアコンのリサイクル、設置までを一括にしたプランがある家電量販店もあります。
処分方法やどこに依頼するかによって、費用も手順も変化するため、自分の目的と予算に合ったエアコンリサイクルのやり方を検討しましょう。