お役立ちコラム
2024.01.25

「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の違いとは?

「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の違いとは?

SDGs、レジ袋有料化、脱炭素社会など“環境”をめぐるキーワードは、私たちの身の回りに溢れ、生活を変えようとしています。
また、廃棄物処理工場での火災、爆発や不法投棄なども、環境をめぐる問題として度々注目されています。
これらのキーワードに共通しているもの、それは「廃棄物(ごみ)」です。
「環境を良くしよう」、そう考えたときに廃棄物は誰もが避けることができない課題です。
今回は、今更聞けないし、誰に聞くべきか悩んでしまう
・「産業廃棄物」と「一般廃棄物の違い」
・廃棄物と私たちの生活にある繋がり
を中心にご紹介します。
これを読めば、あなたの環境意識が今よりグッと向上しますし、あまり世に出ない環境の深い知識を知ることができるはずです。

廃棄物とは

廃棄物とは

廃棄物とは、簡単に言うと、使わなくなり売ることもない不要物のことです。
さらに、廃棄物は「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分類されています。

廃棄物の分類

産業廃棄物とは

産業廃棄物とは

産業廃棄物とは、企業や工場などの事業活動(仕事)で発生する廃棄物のことです。オフィスで使うパソコンやプリンター、工場でゲーム機器を製造する際に出る不良品などが挙げられ、「廃プラスチック類」など20種類が素材別に定められています。

産業廃棄物の具体例

産業廃棄物の具体例

パソコンをイメージしてみてください。外側は、プラスチック素材でできています。またパソコンを動かすための電池や基板は、金属が使われており、今あなたが見ている画面は、ガラス素材でできています。
このことから、仕事のために使用したパソコンは、「産業廃棄物」であり、「廃プラスチック類」、「金属くず」、「ガラスくず」という種類で、産業廃棄物処分場へ運搬され、処分されるのです。

産業廃棄物は事業活動の貴重な資源

産業廃棄物は事業活動の貴重な資源

産業廃棄物は、それぞれの種類ごとに破砕、溶融、焼却などの処理を行います。
処理工程からは、様々な資源を抽出することができ、先ほど例に挙げたパソコンに内蔵されている基板からは、金銀銅が抽出されるのです。
また、ガラスはセメント原料に、プラスチックは製品を作る原材料として、あるいは処分施設を動かすための燃料に再利用されることもあります。
“使わなくなり売ることもない不要物”であるはずの産業廃棄物は、新たな製品を生み出し、生活を動かすための資源になっているのです。
日本は、製品を作るための素材や資源などの多くを輸入に頼っています。
産業廃棄物を生まれ変わらせることは、輸入に頼りきらずに自国で資源を生み出せる、“強い国”に変える力を秘めているのです。

一般廃棄物とは

一般廃棄物とは

一般廃棄物とは、産業廃棄物以外の廃棄物です。一般廃棄物は、さらに「事業系一般廃棄物」と「家庭系一般廃棄物」に分類されています。

一般廃棄物の分類

一般廃棄物の具体例

一般廃棄物の具体例

一般廃棄物は、日常生活の中で排出されます。通常「燃えるゴミ」、「燃えないゴミ」、「資源物」などと呼ばれているため、聞き慣れないかもしれません。
生ごみや、紙くず、プラスチック容器や電球、電池など種類はさまざまです。
また、仕事のランチタイムにコンビニで購入して食べたお弁当のごみも、「一般廃棄物」です。ランチタイムは、廃棄物の法律上“事業活動”に含まれていないことが理由です。
ちなみに、「産業廃棄物」で例示したパソコンは、個人で使用したパソコンであっても、“リサイクル品”となるため、産業廃棄物としても、一般廃棄物としても捨てることができません。
パソコンは貴重な資源です。メーカーもしくは、お住まいの市町村に引き取ってもらいましょう。

一般廃棄物も日常生活の貴重な資源

一般廃棄物の約80%は焼却炉で燃やされ灰となりますが、有害物が含まれていることから、最終処分場と呼ばれる場所に埋め立てられていました。
しかし、埋め立てをする広大な場所の確保が難しいことや、有害物を埋めることへの環境負荷、地域住民の不安など多くの問題があります。
そこで灰が出てしまう焼却処理ではなく、セメント原料として再利用できる溶融(ようゆう)処理に変えたり、各家庭での分別徹底を呼びかけたりと、限りなく一般廃棄物を減らし、再利用するなど、近年では産業廃棄物と同じように資源化への取り組みが進められています。

「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の違い

同じ廃棄物と呼ばれる2つは何が違うのでしょうか。
ここからは産業廃棄物のことを「産廃物」、一般廃棄物のことを「一般廃」という通称名で呼ぶことにします。

排出元と種類

事業活動から発生する産廃物と日常生活で発生する一般廃では、排出元が違います。
さらに素材別に20種類と定められている産廃物に対して、一般廃は地域ごとの区分(燃えるゴミ等)はあるものの、法律で決まっている正式な種類はありません。

許可と責任所在

処理業者は、産廃物を運搬、処分するために都道府県ごとの許可が必要です。
また、運搬と処分の許可は別々にあり、運搬するだけであれば運搬の許可のみを取得すれば良いですが、運搬から処分までを行う場合は、運搬と処分それぞれの許可が必要になります。
さらには、許可を保有しているからと言って、20種類全てを運搬・処分できるわけではなく、それぞれの種類毎に許可の取得が必要です。
オフィスから出たパソコンを運搬・処分するのであれば、「廃プラスチック類」、「金属くず」、「ガラスくず」を運搬・処分できる許可が必要になるということです。
次は、“廃棄物が処理されるまでの責任を、誰が持っているのか”です。
産廃物は排出事業者と呼ばれる、それを排出する事業者(企業や工場など)に責任があります。
これは、“排出する産廃物は自身で処理する”という産廃物処理の原則があるからです。
しかし実際は、処理施設や技術、守るべき法律など、一般企業が自身で処理するためには相当な労力や資金が必要です。そのため、産廃処理業者に委託し処理をしてもらうことが一般的です。
対して一般廃は、各家庭からごみ収集場所に集められ、収集車両が全て回収します。これは種類ごとの許可ではなく、「一般廃」として許可を取得するからです。
また回収された一般廃は、市町村が運営するいわゆる「ごみ処理場」に集められ、処理されますので、処理されるまでの責任も市町村にあります。

許可と責任所在

処理施設

産廃物は、許可を持っている処理業者の施設で処理されます。
産廃物の処理は、破砕や溶融、焼却を行う中間処理と、中間処理されたものを最終的に処分する最終処分に分けられます。
金銀銅の抽出や原材料、エネルギー資源が出来るのは最終処分場です。
一般廃の場合は、責任所在がある市町村が保有しているごみ処理場で中間処理後、最終処分の多くは、先述の通り埋め立てされています。

保管基準

日本はその昔、水俣病などの公害病、高度経済成長に伴う大気汚染など環境への意識が低い時代がありました。
その後、“環境への悪影響を減らす”ことを目的として、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、略して「廃掃法(はいそうほう)」が設立され、悪影響の一端であった廃棄物は、処理するための許可に始まり、様々な規制や基準が定められました。
特に産廃物は、流出などによる環境への影響が大きいことから、囲いの設置、保管容器の使用、保管場所や処理施設を明示する看板の設置など、一般廃よりも厳しい基準が設けられているのです。
一般廃も“環境への悪影響を減らす”という基本は同じですが、市町村ごとに定める基準に重きが置かれています。

排出から処理までの管理

廃掃法では、不法投棄や違法処理を防止するために責任を負う排出事業者と、処理を行う処理業者の両者が、排出から処分までの管理を適切に行うための基準を義務として定めています。
【管理基準の例】
・委託契約の締結
産廃物の種類や量、処理の方法などを決め、“法律に違反しない排出・処理”を約束します。
・マニフェストの発行
産廃物がどこに行き、どのように処理されるのかなどの情報を記し、不法投棄防止に役立てるための記録です。
・排出事業者による処理業者の監査
産廃物の責任がある排出事業者が、処理業者の施設などを見て、きちんと処理が行われているか確認します。
対して一般廃は、それぞれで厳しい基準を定めている各市町村が責任を負うことから、契約の締結、マニフェストの発行などの義務は定められていません。

適正処理は、環境の味方

「適正処理」とは、定められた管理基準などに沿って廃棄物を適切に“排出→運搬→処理”することを指します。
ここまで読んだあなたは、産廃物と一般廃について、それぞれの違い、そしてそれぞれが定められた基準に従って適正処理され、私たちの生活を動かす一部として貴重な資源であることを知ることができました。
最後に、冒頭で話題になった爆発、火災ですが、実は排出事業者もしくは私たちの誤った分別方法に起因する事故もあるのです。
一般廃として何気なく出す電池は絶縁を怠ると、処理工程の中でプラス・マイナスがこすれあい発火します。
また、スプレー缶などはガスを抜いてから出さないと、処理されるまでの保管過程でガスが缶の中に溜まります。そして処理しようと穴をあけた瞬間にガスが勢いよく噴射されることで爆発が起きるのです。
私たち、処理業者、都道府県(市区町村)、それぞれが基準に従って適切に排出と管理をすることで、廃棄物は適正処理が可能となり、それがまた私たちの生活を支える製品やエネルギーになります。
住んでいる地域を、日本を、しいては地球の環境をより良いものにするきっかけとなるよう環境への意識を持ち、行動することが大切です。

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