リチウムイオン電池は、スマートフォンやモバイルバッテリーなど、身近な製品に使用されている電池です。
環境への負荷を軽減できる原材料から製造されているため、環境に優しいともいわれています。
コンパクトなサイズで利便性に優れているリチウムイオン電池ですが、処分方法を間違えると火災の恐れもあります。
「リチウムイオン電池の処分方法を知りたい」、「処分する際の注意点は?」など疑問を持っている方も多いでしょう。
今回は、今話題のリチウムイオン電池の処分方法や、処分する際の注意点について紹介します。
目次
リチウムイオン電池とは
リチウムイオン電池とは、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで放電する電池です。
充電して繰り返し使用できる特徴があります。
リチウムイオン電池の主な種類は、下記のとおりです。
コバルト系リチウムイオン電池 |
・以前はモバイル機器などに使用されていた ・現在は使用されることが少ない |
ニッケル系リチウムイオン電池 |
・安全性に課題がある ・容量が大きい |
三元系リチウムイオン電池 |
・エネルギー密度が高い ・医療機器などにも使用されている |
リン酸鉄系リチウムイオン電池 |
・安全性が高い ・電動工具などにも使用されている |
マンガン系リチウムイオン電池 |
・安全性が高い ・原材料費が低め |
リチウムイオン電池はリサイクルすると、解体や熱処理がおこなわれます。
取り出されたコバルトやニッケルは、再び新たな製品に生まれ変わります。
そのためリサイクルすることで、コバルトやニッケルなどの資源を大切にし、活用していくことが可能です。
メリット
リチウムイオン電池のメリットは、下記の4つです。
- 電池の寿命が長い
- コンパクトなサイズで大容量
- 幅広い形状
- 有害物質が含まれていないため環境に優しい
リチウムイオン電池は、繰り返し充電しても劣化しにくく、寿命が長いです。
種類によっても異なりますが、なかには10年以上使用できるものもあります。
また、リチウムイオン電池はサイズがコンパクトですが、多くの電気を蓄えられます。
小さなサイズで、繰り返し充電できるスマホのバッテリーを想像すると、分かりやすいでしょう。
形状も下記のように幅広いです。
- 円筒形
- パウチ形
- ピン形
形が豊富なため、さまざまな製品に使用されています。
デメリット
リチウムイオン電池のデメリットは、下記の2つです。
- 熱暴走(異常発熱や発火が起きること)の危険がある
- ほかの電池に比べて高価なものが多い
リチウムイオン電池は、異常に発熱し、場合によっては発火する危険性もあります。
主な原因は、正極と負極の短絡によるものと言われています。
また、電池の中でもリチウムイオン電池は、レアメタルなどの原材料が高いことや製造にコストがかかることから、ほかの電池に比べて高価なものが多い点はデメリットでしょう。
リチウムイオン電池の用途
リチウムイオン電池の主な用途は、下記の5つです。
- スマートフォン
- ノートパソコン
- モバイルバッテリー
- 加熱式電子タバコ
- 小型扇風機
スマートフォン
リチウムイオン電池は、スマートフォンに使用されています。
近年スマートフォンは、サイズもコンパクトなものが多いです。
小型のリチウムイオン電池は、コンパクトなスマートフォンにも適しており、幅広く活用されています。
また、スマホのバッテリーに使用されているリチウムイオン電池は、2年ほどが寿命といわれています。
ノートパソコン
リチウムイオン電池は、ノートパソコンにも活用されています。
ノートパソコンには、セルバッテリー(単体の電池「セル」を複数接続し、バッテリーパックに格納したもの)が使用されています。
セルバッテリーにはリチウムイオンが採用され、セルの数が多いほどバッテリーの稼働時間が長いです。
また、一般的にノートパソコンのバッテリーの寿命は、2〜3年ほどといわれています。
モバイルバッテリー
リチウムイオン電池は、モバイルバッテリーに使用されています。
近年は、モバイルバッテリーもかなりコンパクトになりました。
モバイルバッテリーには、円筒型のリチウムイオン電池もよく活用されています。
また、モバイルバッテリーの寿命は、2年ほどであるものが多いです。
加熱式電子タバコ
リチウムイオン電池は、加熱式電子タバコにも使用されています。
加熱式電子タバコとは、タバコの葉を燃やすのではなく、バッテリーから電力を供給し、加熱による蒸気で使用するものです。
通常のタバコと異なり、煙が出ない特徴があります。
加熱式電子タバコにおけるリチウムイオン電池の主な使用方法は、下記のとおりです。
- リチウムイオン電池を内蔵して使用
- 円筒型のリチウムイオン電池を使用
小型扇風機
リチウムイオン電池は、小型扇風機にも使用されています。
手軽に持ち歩けるハンディファンや、デスクに置けるコンパクトサイズのものなど幅広く、暑い夏にも活躍するアイテムです。
小型扇風機には、円筒形のリチウムイオン電池が内蔵されている場合が多く、充電して繰り返し使用できます。
本来リチウムイオン電池は、衝撃だけでなく高温にも弱いため、夏に使用する小型扇風機には注意が必要です。
リチウムイオン電池の処分方法
リチウムイオン電池の処分方法は、下記の4つです。
- メーカーによる回収
- 家電量販店やホームセンターによる回収
- 自治体による回収
- 回収ボックスの利用
リチウムイオン電池を含めた小型二次電池は、廃棄物として処分できません。
2001年に「資源の有効な利用の促進に関する法律」が施行され、回収とリサイクルが定められたためです。
リサイクルされたリチウムイオン電池からコバルトや鉄を取り出し、さまざまな製品に生まれ変わります。
リチウムイオン電池を処分する際には、下記に分けられます。
- リチウムイオン電池のみを単体で回収してもらう
- リチウムイオン電池が内蔵されている製品を回収してもらう
以下でそれぞれの処分方法を見ていきましょう。
メーカーによる回収
リチウムイオン電池は、メーカーによる回収で処分が可能です。
リチウムイオン電池が内蔵されている下記の製品は、メーカーに回収してもらえます。
スマートフォン | 各通信会社の店舗に持ち込む |
ノートパソコン | 製造元のメーカーに依頼する |
モバイルバッテリー | 製造元のメーカーに依頼する |
ノートパソコンやモバイルバッテリーは、メーカーによって申し込みから排出までの流れが異なります。
そのため、事前にメーカーに確認してから回収してもらいましょう。
家電量販店やホームセンターによる回収
リチウムイオン電池は、家電量販店やホームセンターによる回収で処分が可能です。
下記のように、家電量販店などではリチウムイオン電池の他に、モバイルバッテリーの回収もおこなっている場合があります。
家電量販店 |
・モバイルバッテリーを回収するリサイクルボックスを設置 ・リチウムイオン電池を含む小型充電式電池の回収ボックスを設置 |
ホームセンター | リチウムイオン電池を含む小型充電式電池の回収ボックスを設置 |
通信会社の店舗 | モバイルバッテリーを回収 |
タバコ販売店 | 加熱式電子タバコを回収 |
家電量販店やホームセンターでは、リチウムイオン電池を回収するための缶やボックスが店内などに設置されています。
また、モバイルバッテリーや、ノートパソコンのリチウムイオンバッテリーなども回収してもらえる場合があるため、確認してみてください。
また、「一般社団法人日本たばこ協会」は、全国のたばこ販売店の協力を得ながら、加熱式タバコの回収やリサイクルに取り組んでいます。
使用後の加熱式タバコは、タバコ販売店で回収してもらいましょう。
劣化が進み、膨張しているリチウムイオン電池は、回収できない場合もあるため、注意してください。
自治体による回収
リチウムイオン電池は、自治体による回収で処分できます。
例として、大分市・宮崎市・福岡市での回収は下記のとおりです。
自治体 | 回収方法 |
---|---|
大分県大分市 | 市内の14カ所に「小型充電式電池等回収ボックス」を設置 |
宮崎県宮崎市 | 市役所などに設置している「小型家電回収ボックス」において「小型充電式電池」、「電子たばこ・加熱式たばこ」を回収 |
福岡県福岡市 | 機器本体から取り外せるものは、公共施設に設置している「資源回収ボックス」で回収 |
回収ボックスの利用
リチウムイオン電池は、回収ボックスを利用することで処分が可能です。
自治体によって回収ボックスが設置されている場所は異なるため、事前に確認してから処分しましょう。
リチウムイオン電池を処分する際の注意点
リチウムイオン電池を処分する際の注意点は、下記の4つです。
- 濡らさない
- 無理やり取り外さない
- 他の廃棄物に混入させない
- 端子部分を絶縁する
濡らさない
リチウムイオン電池を処分する際は、濡らさないように注意してください。
濡れると発熱やショート、液漏れの原因になります。
リチウムイオン電池を液体の近くに置かず、水に濡らさないように注意して処分しましょう。
無理やり取り外さない
リチウムイオン電池を処分する際は、無理やり取り外さないようにしてください。
無理やり外すことで、下記のリスクが生じます。
- 解体すると回収してもらえない
- 発火の危険性がある
他の廃棄物に混入させない
リチウムイオン電池を処分する際は、他の廃棄物に混入させないようにしてください。
リチウムイオン電池が入ったままの製品を廃棄したり、他の廃棄物に混入させたりすると、予期しない事故につながる恐れがあります。
端子部分を絶縁する
リチウムイオン電池を処分する際は、端子部分を絶縁しましょう。
端子部分に他の金属が触れることで、発火が生じる危険性もあります。
ビニールテープなどを使用して端子部分を覆い、絶縁してから処分しなければいけません。
リチウムイオン電池の処分方法のまとめ
今回は、今話題のリチウムイオン電池の処分方法や、処分する際の注意点について紹介しました。
リチウムイオン電池の処分方法と処分する際の注意点は、下記のとおりです。
処分方法 |
・メーカーによる回収 ・家電量販店やホームセンターによる回収 ・自治体による回収 ・回収ボックスの利用 |
処分する際の注意点 |
・濡らさない ・無理やり取り外さない ・他の廃棄物に混入させない ・端子部分を絶縁する |
リチウムイオン電池は適切に処分しなければ、大きな事故につながる恐れもあります。
あらかじめ処分方法を確認し、適切に排出することで、火災などのリスクを防ぐことが可能です。
処分の際は十分に注意し、適切な方法でおこないましょう。