リサイクルマークとは、分別方法を伝えたり、環境への負荷が少ない製品を示したりするために表示されているマークです。
リサイクルを促進するためにも重要な役割をもつリサイクルマークですが、「リサイクルマークに意味はあるのか」、「数字や記号などの表記はどう見ればいいのか」など疑問をもっている方も多いと思います。
適切にリサイクルするためにも、リサイクルマークについて詳しく把握することが必要です。
本記事では、よく目にするリサイクルマークについて、意味や表記の見方を解説します。
目次
リサイクルマークの概要
リサイクルマークとは、分別方法をわかりやすく伝えたり、環境への負荷が少ない製品を知らせたりするために表示されているマークです。
下記の「リサイクル製品」や「エコ製品」に表記されています。
- リサイクル製品:ゴミを再利用して作られた製品
- エコ製品:環境への負荷が少ないと認められた製品
なかには表示義務が定められているマークもあります。
リサイクルマークはサイズや位置に決まりがあるため、表示する場合は決まりにしたがい刻印しなければいけません。
リサイクルマークを確認して適切にリサイクルすることにより、環境の保護やエネルギーの節約につながります。
リサイクルマークの意味
リサイクルマークには意味があり、それぞれの意味を知ることで適切なリサイクルが可能です。
本章では、以下の3つに分けて解説します。
法律で表示が定められているマーク |
飲料缶の識別マーク ペットボトルマーク プラスチック製容器包装マーク 紙製容器包装マーク 小形二次電池マーク 塩化ビニル製建設資材マーク |
自主的に表示されているマーク |
段ボールマーク 紙パックマーク |
その他 |
グリーンマーク 再生紙使用マーク エコマーク 統一美化マーク 牛乳パック再利用マーク |
法律で表示が定められているマーク
リサイクルマークの中には、法律で表示が義務づけられている「識別表示」があります。
1991年に施行された「資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)」により、表示が義務づけられました。
飲料缶の識別マーク
飲料缶の識別マークにはアルミ缶とスチール缶があり、それぞれ分別しやすいように表示されています。
飲料缶の識別マークが表示されている製品には、以下などがあります。
- アルミ缶・・・ビール、炭酸飲料
- スチール缶・・・缶コーヒー、緑茶飲料、果実飲料
アルミ缶はやわらかくて軽く、スチール缶よりも強度が低いです。
そのため中身から圧力をかけて強度を保つため、炭酸飲料などに使われています。
スチール缶は強度が高く熱にも強いため、高温殺菌をおこなう缶コーヒーなどに使われています。
ペットボトルマーク
ペットボトルと、ペットボトル以外のプラスチック製容器を区別するためにつけられたマークです。
ペットボトルマークが表示されている製品には、以下などがあります。
- 飲料
- 調味料
- ドレッシング
プラスチック製容器包装マーク
ペットボトルを除いたプラスチック製容器につけられるマークです。
プラスチック製容器包装マークが表示されている製品には、以下などがあります。
- ビニール袋
- 化粧品のパッケージ
- シャンプーなどの容器
- 卵パック
- 食品トレー、ヨーグルトの容器など
- 緩衝材
- 発泡スチロール
紙製容器包装マーク
紙製の容器や包装などにつけられているマークです。
飲料用紙容器でアルミを使用していないものと、段ボール製容器包装は除きます。
紙製容器包装マークが表示されている製品には、以下などがあります。
- 紙袋
- 包装紙
- アルミ付き液体紙容器
小形二次電池マーク
リサイクルが定められている小形二次電池につけられるマークです。
小形二次電池とは充電式の電池を指し、電話やノートパソコンに使われています。
小形二次電池には、以下のようにいくつか種類があります。
- リチウムイオン電池
- ニカド電池
- ニッケル水素電池
- 小形制御弁式鉛蓄電池
それぞれマークも異なるため、リサイクルに出す前によく確認してください。
塩化ビニル製建設資材マーク
塩化ビニル製建設資材マークと、ほかのプラスチック製建設資材を区別するためにつけられたマークです。
「塩化ビニル樹脂」は「塩ビ」とも呼ばれ、壁紙や電線被覆などさまざまな建設資材に使われています。
自主的に表示されているマーク
リサイクルマークには、団体や事業会社などが自主的に表示しているマークもあります。
段ボールマーク
リサイクルできる段ボールに表示されています。
通常はマークの下に「ダンボール」と文字が記載されていますが、輸送用の外装箱などには「ダンボールはリサイクル」と表記することも可能です。
また、段ボールはリサイクル率が高いことでも知られています。
紙パックマーク
アルミを使用しているものを除いた紙パックにつけられるマークです。
内側にアルミを使用している製品と区別する目的があります。
内側にアルミを使用している紙パックは、紙の中でもリサイクルできない「禁忌品」に当たるため、注意が必要です。
再利用可能な紙パックと混ぜると、製紙工場などでトラブルが生じる原因にもなります。
なかにはアルミつきの紙パックを回収している自治体や回収拠点もあるため、確認してみてください。
その他
識別表示マークや自主的に表示するマーク以外にも、さまざまなリサイクルマークがあります。
グリーンマーク
定められた割合以上の古紙が使用されていることを示すマークです。
古紙の使用割合は、原則として40パーセント以上と定められていますが、以下のように製品によっても異なります。
- トイレットペーパー、ティッシュペーパー・・・100パーセント
- 新聞用紙、コピー用紙・・・50パーセント
公益財団法人 古紙再生促進センターの承認が下りた製品につけられます。
再生紙使用マーク
再生紙使用マークは「Rマーク」ともいわれ、1995年に「ごみ減量化推進国民会議」において定められました。
古紙パルプが使用されていることを示すマークで、マークの右側には古紙パルプの配合率が表示されています。
エコマーク
エコマークは、生産から廃棄までを通して、環境の負荷が少なく環境保全に役立つと認められた製品につけられるマークです。
商品のライフステージである「資源採取」、「製造」、「流通」、「使用消費」、「リサイクル」、「廃棄」の各段階において、以下の4つの項目を重点的に評価しています。
- 省資源と資源循環
- 地球温暖化の防止
- 有害物質の制限とコントロール
- 生物多様性の保全
エコマークは、以下のようにさまざまな製品に表示されています。
- ゴミ袋
- タオル
- 石鹸
- 食器
- パソコン
統一美化マーク
飲料容器の散乱防止やリサイクルの促進を示すマークで、「ポイ捨て防止マーク」や「リサイクルマーク」ともいわれています。
新聞やパンフレットなど、幅広く使用されています。
牛乳パック再利用マーク
使用済みの牛乳パックを原料に使用していることを示すマークです。
牛乳パック再利用マークは、以下の製品などに表示されています。
- トイレットペーパー
- ティッシュペーパー
- 名刺
- ハガキ
- カレンダー
リサイクルマークの表記の見方
リサイクルマークの中には、周りに数字や「PP」などの記号が表示されているものも多いです。
数字や記号は重要な意味を持っていますが、詳しく知らない方も多いと思います。
本章では、リサイクルマークの表記の見方を解説します。
数字の意味
ペットボトルマークを例に解説すると、矢印で構成された三角形の中に「1」や「2」など数字が表記されています。
数字は、1989年に米国プラスチック産業協会が制定したコード(SPIコード)です。
以下のように材質別に番号が振られています。
米国SPIコード | 日本における材質記号 |
---|---|
1.ペット樹脂:ポリエチレンテレフタレート | PET |
2.高密度ポリエチレン | PV |
3.塩化ビニル | PVC |
4.低密度ポリエチレン | PE |
5.ポリプロピレン | PP |
6.スチロール樹脂:ポリスチレン | PS |
7.複合材、その他 | PE, M, PPなど |
経済産業省|楽しく学ぶ3Rをもとに作成
日本でもコードの使用が奨められていましたが、現在使用されているのは「1」のみで、飲料やお酒、醤油用の容器に表示されています。
また、そのほかのプラスチック製容器包装には、プラスチック製容器包装マークが表示されています。
単一材質と複合材質
材質の表示について、プラスチック製容器包装マークを例に解説します。
プラスチック製容器包装マークは、矢印で作られた四角形の中に「プラ」と表記されています。
識別マークの下側に「PE」などの記号が1つのみ書かれている場合は、単一材質の意味をもち、製品に1つの材質しか使われていないことを表します。
識別マークの下側に「PE」や「EVOH」など記号が複数書かれている場合は、複数材質の意味をもち、製品に複数の材質が使われていることを表します。
複合材質の場合は主要の構成材料を含めた2つ以上を表示し、最大重量の材質には下線を引きます。
また、主な材質表示記号には、以下などがあります。
PP | ポリプロピレン |
PE | ポリエチレン |
PS | ポリスチレン |
PET | ポリエチレンテレフタレート |
PVC | ポリ塩化ビニル |
EVOH | エチレンービニルアルコール樹脂 |
P | 紙 |
M | 金属(スチール、アルミなど) |
農林水産省|食品関連事業者のための容器包装リサイクルをもとに作成
リサイクルマークを確認するだけで、製品に使われている材質は1つのみか複数かひと目でわかります。
使われている部位と材質記号
プラスチック製容器包装マークなどの識別マークの下側には、「キャップ:PE」や「ボトル:PP」などと表記されている場合があります。
「キャップ」や「ボトル」は役割名といい、リサイクルマークが示すパーツの名称のことです。
役割名には以下などもあります。
- 外箱
- フタ
- 中袋
- 個包装
- 仕切り
また、多重容器包装は、複数の容器包装がほぼ同時に捨てられる場合に、いずれかの容器包装に一括して識別マークを表示することが可能です。
その場合は、役割名を識別マークと並べて表示できます。
リサイクルマークの意味や見方のまとめ
今回は、よく目にするリサイクルマークについて、意味や表記の見方を解説しました。
リサイクルマークは数多くありますが、主に以下の3種類に分かれます。
- 法律で表示が定められているマーク
- 自主的に表示されているマーク
- その他
リサイクルマークは消費者が分別しやすいように表示されており、それぞれ表記の仕方にも意味があります。
適切にリサイクルするには、リサイクルマークの意味や表記の見方を理解することが大切です。
リサイクルする前には、リサイクルマークの表記を確認してから処分することを心がけてください。