ガスボンベやスプレー缶は、多くの人が日常的に使用していますが、正しい手順で処分しなければ、事故につながる恐れもあります。
そのため、適切に処分する方法を把握しておかなければいけません。
ガスボンベやスプレー缶を処分する際は注意が必要ですが、「処分する際の手順を知りたい」、「どう処分すればいいのか」など疑問をもっている方も多いと思います。
本記事では、ガスボンベやスプレー缶の正しい処分方法について解説します。
目次
ガスボンベやスプレー缶の使用期限
ガスボンベやスプレー缶は、適切に使用しなければ事故につながる恐れもあります。
そのため、まずガスボンベとスプレー缶の使用期限について確認していきます。
ガスボンベの使用期限
ガスボンベには、CB缶とOD缶があります。
CBは「CassetteGasBombe(カセットガスボンベ)」の略で、ODは「OutDoor(アウトドア)」の略です。
CB缶は縦に長細い形をしており、カセットコンロに使用されることが多く、OD缶は丸みを帯びた形をしており、よくアウトドアで用いられています。
近年はキャンプの流行にともない、OD缶を使用する方も増えています。
CB缶とOD缶の使用期限の目安は、メーカーによっても異なるため注意が必要ですが、どちらも製造から約6〜7年です。
ガスボンベの内部には、ガス漏れを防ぐためにゴム製の部品が使用されており、時間が経つほどに品質が劣化していきます。
また、製造から7年経っていない場合でも、ゆがみや変形があったり、サビが出ていたりするなど異常が見られることがあります。
そのような異常が見られた際は、使用してはいけません。
ガスボンベの製造年月日は缶の底に記載されているため、チェックしてください。
ガスボンベを災害対策のために持っている方も多いかと思いますが、その場合はチェックするのを忘れがちになるケースも多いです。
そのため、定期的に異常が見られないか、製造年月日はいつか確認することが大切です。
スプレー缶の使用期限
スプレー缶の使用期限は、未開封で高温多湿を避け、直射日光が当たらない場所で保管していれば約3年です。
使用期限は製品によっても異なり、なかには記載されていない製品もあります。
また、使用期限ではなく製造年月日が記載されている場合もあるため、確認する際には注意してください。
スプレー缶は、以下のようにさまざまな製品に使用されているため、注意して扱わなければいけません。
- ヘアスプレー
- 冷却スプレー
- 制汗消臭剤
- 塗料
- 洗顔フォーム
適切に保管し、製造年月日や使用期限の記載があれば定期的に確認するといいです。
ガスボンベやスプレー缶の処分手順
ガスボンベやスプレー缶を処分する場合は、基本的に自治体の指示にしたがって処分しなければいけません。
処分は正しい手順、工程でおこなわなければ爆発や怪我の恐れがあるため、前もって自治体に確認することが大切です。
本章ではガスボンベ(CB缶)やスプレー缶を適切に処分するため、処分手順を解説します。
ガスボンベ(CB缶)やスプレー缶の処分手順は、以下のとおりです。
- ガス抜きする際は、まず服装に注意する
- 風通しがよく、火気のない場所に移動する
- キャップを取り、先端を下向きにする
- コンクリートなど硬いところに押しつけ、中身を出し切るまで噴射する
- カセットガスボンベあるいはスプレー缶を振り、音がするか確認する
- カセットガスボンベあるいはスプレー缶から音がする場合は、再度空になるまでガス抜きをおこなう
まず作業時の服装は、静電気が起きない洋服を選び、手袋やマスクを身につけます。
冬など空気が乾燥しやすい季節はとくに注意が必要です。
そしてガス抜きをおこなう場合は、屋内だと引火や爆発の恐れがあるため、必ず屋外でおこないます。
屋外でも風通しがよく、火気のない場所に移動してください。
屋外の安全な場所に移動後、カセットガスボンベあるいはスプレー缶のキャップを取り、先端を下向きにして硬いコンクリートの地面などに噴射します。
ガスを吸い込むと気分が悪くなる可能性があるため、注意しながらおこなってください。
中身を出し切ったあとに、カセットガスボンベあるいはスプレー缶を振って中から音がしないか確認します。
音がしなければ中身がない状態のため、ガス抜きは完了です。
音がする場合は、再度中身が空になるまで出し切ります。
ガスボンベやスプレー缶の処分方法
ガスボンベやスプレー缶の主な処分方法は、以下の2つに分かれます。
- 自治体による回収
- その他
自治体では定期的に回収日が設けられており、無料で引き取ってもらえますが、中身が残っていると回収が難しい可能性があります。
不用品回収業者は中身が残っていても回収してもらえる場合もあるため、その点も含め本章で解説します。
自治体による回収
ガスボンベやスプレー缶は、多くの自治体が「燃えないゴミ」や「資源ゴミ」として無料で回収しています。
自治体によって分別の名称は異なりますが、ガスボンベやスプレー缶は「発火性危険物」に分類され、大体週に1回や月に1回の頻度で回収されます。
自治体によっては、中身を使い切って穴を開けずにゴミ袋に入れるなどの決まりが、明確に定められている場合もあるため注意してください。
いくつか自治体の例を挙げると、カセットボンベやスプレー缶を処分する際のルールは以下のとおりです。
自治体 | 処分する際のルール |
---|---|
東京都荒川区 | その他の燃やさないゴミとは別にし、中身が見える袋に入れ、「キケン」と表示する。 |
東京都大田区 | 穴を開けずに、使い切って中身が見える別袋に入れる。 |
大阪府大阪市 |
中身を使い切って、穴を開けずに中身が見える透明または半透明の袋に入れる。 空き缶、空きびん、ペットボトル、金属製の生活用品とは別の袋に入れる。 |
神奈川県相模原市 |
必ず使い切って穴を開けるようにする。 スプレー缶で中身が残っている場合は、市で処理できない。 |
京都府京都市 | 中身を完全に使い切って穴を開けずに、小型金属類と一緒にゴミ袋に入れる。 |
佐賀県佐賀市 |
必ず中身を使い切り、穴開けはしない。 使い切れなかったものは、中身を出す。 中身を出し切ったものは、「燃えないごみ」の指定袋に入れる |
長崎県長崎市 |
中身やガスを必ず使い切り、穴開けはしない。 その他の燃やせないごみ袋とは袋を分け、燃やせないごみの日に出す。 |
福岡県福岡市 |
中身を使い切り、ガス抜き後の穴開けはしない。 「燃えないごみ」の青い指定袋に入れる。 |
大分県大分市 | 中身を使い切り穴を開けず、透明・半透明の袋に入れ、「スプレー缶・蛍光管等の日」に出す |
熊本県熊本市 |
必ず中身を使い切り穴開けはしない。 市販の45リットル以下の透明袋か半透明ポリ袋で出す。 (特定品目の場合は、異なる種類であっても1枚の透明ごみ袋に入れ、まとめて出すことも可能) |
中身が残ったまま正しく分別せずに処分をしてしまうと回収業者等がケガをしたり、ゴミ処理場の設備が破損してしまう恐れがあります。
中身が残っている場合は、適切にガス抜きをおこなってから処分してください。
その他
自治体による回収以外には、以下の処分方法もあります。
- 不用品回収業者に依頼する
- 製造元に回収を依頼する
- リサイクルショップに持ち込む
ガスボンベやスプレー缶を処分する際には、不用品回収業者に依頼する方法もあります。
不用品回収業者に依頼する場合は、他の廃棄物と一緒に引き取ってもらえる場合もあり便利ですが、なかにはカセットガスボンベを回収していない業者もあるため注意してください。
また、自治体で処分する場合は中身を空にしなければいけませんが、不用品回収業者の場合は、中身が残っていても回収してもらえることが多いです。
また、処分する必要のあるガスボンベやスプレー缶がいくつかある場合は、不用品回収業者に依頼する方法も検討するといいです。
不用品回収業者に依頼する場合は、処分したいタイミングで回収してもらえますが、費用がかかるため事前に確認してください。
また、メーカーによっても異なりますが、未使用の場合には製造元に引き取ってもらえるケースもあります。
製造元に回収を依頼する場合は、以下を確認するといいです。
- 送料は自己負担か
- 事前に連絡する必要があるか
不明点がある際は、製造元に問い合わせることをオススメします。
また、未使用のカセットガスボンベは、リサイクルショップで買い取ってもらえる場合もあります。
使いかけのカセットガスボンベは買取できない可能性もあるため、注意が必要です。
ガスボンベやスプレー缶を処分するときの注意点
ガスボンベやスプレー缶は周囲に火気があると、ガスに引火する可能性があるため、取り扱いには十分気をつけなければいけません。
ガスボンベやスプレー缶を処分する際には、以下のようにいくつか注意点があります。
- ガスが入った状態で穴をあけないように注意
- キッチンや車の近くなどでガス抜きをしないように注意
- 使用期限の厳守
1つずつ見ていきます。
ガスが入った状態で穴をあけないように注意
ガスボンベに穴を開ける場合は、必ず中身が空の状態でおこなってください。
中身が入っているまま穴を開けると、ガスが噴射し周囲に充満する恐れがあるため、注意が必要です。
また、処分する際に穴を開ける必要があるか否かは、自治体によってルールが異なるため、前もって自治体に確認してからおこなってください。
現時点では自治体で処分する際に穴を開けない場合が多いですが、自治体で穴を開けてから処分するように定められている場合は、穴開けの道具を必ず使用してください。
鋭利なもので穴を開けてしまうと火花で引火する恐れがあるため、注意が必要です。
専用道具は、以下のようなタイプがあります。
- 押し当てて開けるタイプ
- 手で挟んで開けるタイプ
- 足で踏んで開けるタイプ
穴を開ける際は、周囲にも十分気をつけておこなってください。
キッチンや車の近くなどでガス抜きをしないように注意
ガス抜きは、キッチンや車の近くなどでおこなわないように注意してください。
キッチンは近くに火気があるため危険です。
また、車などはガソリンが入っているため、ガスが引火する恐れがあります。
ベランダも周りが囲まれており風通しが悪く、ガスが充満しやすいため危険です。
そのため、ガス抜きをおこなう場所には十分注意する必要があります。
ガス抜きは、風通しがよく火気のない場所でおこなうようにしてください。
使用期限の厳守
ガスボンベやスプレー缶は、必ず使用期限を守るようにしてください。
未使用でも長期間保管していると徐々に劣化していき、ガス漏れなどの事故が起こる可能性もあります。
ガスボンベやスプレー缶は適切に保管し、定期的に使用期限や製造年月日を確認するようにしてください。
ガスボンベやスプレー缶の処分方法のまとめ
今回は、ガスボンベやスプレー缶の正しい処分方法について解説しました。
ガスボンベやスプレー缶の処分手順は以下のとおりです。
- ガス抜きする際は、まず服装に注意する
- 風通しがよく、火気のない場所に移動する
- キャップを取り、先端を下向きにする
- コンクリートなど硬いところに押しつけ、中身を出し切るまで噴射する
- カセットガスボンベあるいはスプレー缶を振り、音がするか確認する
- カセットガスボンベあるいはスプレー缶から音がする場合は、再度空になるまでガス抜きをおこなう
適切に処分しなければ事故につながる恐れもあるため、不明点があれば自治体に相談するなど、注意して処分する必要があります。
処分する際のルールは、自治体によって異なる場合も多いため、事前に確認して把握しておいてください。