お役立ちコラム
2023.08.25

アルミや鉄、銅はリサイクル後にどうなる?再生後を分かりやすく解説!

アルミや鉄、銅はリサイクル後にどうなる?再生後を分かりやすく解説!

アルミや鉄、銅などの金属は幅広い製品に活用されており、日常生活と深く密接しています。
さまざまな形で生活に取り入れられている金属の原料は、海外からの輸入の割合が高い天然資源です。
そのため、飲み終えたアルミ缶などはリサイクルに出されている場合が多いです。

しかしアルミ缶やスチール缶などの金属が含まれた製品は、リサイクル後にどうなるのか知らない方も多いと思います。

そこで今回は、アルミや鉄、銅のリサイクル後について分かりやすく解説します!

アルミや鉄、銅が使われている製品

アルミや鉄、銅が使われている製品

アルミや鉄、銅などの金属は特性を持っています。
それぞれの特性を活かして多方面から私たちの暮らしを支えており、さまざまな製品に採用されることも多いです。

本章では、具体的に金属が使われている製品を紹介します。

アルミが使われている製品

アルミが使われている製品は以下のとおりです。

  • アルミ缶
  • お菓子などのパッケージ
  • 水筒
  • パソコン
  • デジタルカメラ
  • エアコン
  • 車の部品
  • 電線
  • 建材

アルミはスーパーなどでよく見かけるアルミ缶にも使われており、用途が幅広いです。
デジタルカメラは、アルミを採用することによって美しい光沢を生み出せており、見た目の美しさを際立たせてくれています。

また、アルミは軽量なことや熱伝導性に優れている特性を活かして、エアコンなどの電気製品にも使われています。
さらに耐食性に優れていることから建物の外壁や屋根にも使われており、建築関係でも幅広く活躍しています。

鉄が使われている製品

鉄が使われている製品は以下のとおりです。

  • スチール缶
  • 建材
  • 線路
  • 車の部品
  • 冷蔵庫
  • テレビ
  • 船舶

鉄は硬く、強度が高いためスチール缶に採用されています。
他にも鉄骨など建設に関わるものや乗用車、冷蔵庫やテレビなどの電気製品にも使われており、鉄は暮らしに定着している材料の1つです。

鉄が持つ硬く丈夫で加工がしやすい特性は、さまざまな製品を作るときに活かされています。

銅が使われている製品

銅が使われている製品は、以下のとおりです。

  • たわし
  • 車の部品
  • エアコン
  • デジタルカメラ
  • 建材
  • 電線
  • 茶器
  • 携帯電話機

銅は熱を伝えやすいため、やかんや鍋にも使われており、日常生活に欠かせない調理グッズに採用されていることも多いです。
また、銅は抗菌作用を持っているため、たわしやスポンジ、靴下やドアノブなどにも使われています。

電気を通しやすい特性を活かして電線にも採用されていたり、エアコンや携帯電話などの電気製品に使われたりと用途が幅広いです。
さらに銅は錆びにくい性質である耐食性を持っているため、建物の屋根などにも使われています。

アルミや鉄、銅のリサイクルの過程

アルミや鉄、銅のリサイクルの過程

金属が回収されてから再び製品として生まれ変わるまでには、いくつかの手順があります。
本章では、アルミや鉄、銅はどのような過程を経てリサイクルされるのかについて解説します。

アルミのリサイクルの過程

アルミは製品によってリサイクルの過程が異なるため、以下ではアルミ缶を例にリサイクルの過程を紹介します。

1.回収
分別収集、ボランティア活動の一貫としておこなわれる集団回収、スーパーやコンビニエンスストアに回収箱を設置しておこなう拠点回収などによって回収されます。
アルミ缶をリサイクルするときには、中身をきれいに洗い、スチール缶と混ざらないように注意してください。

2.運搬
回収業者が再生工場に運びます。

3.選別
再生工場まで運ばれたアルミ缶は種類別に選別し、保管しておきます。

4.溶解
種類別に分けて、アルミを溶解します。

5.加工
溶解したアルミを塊(再生地金)に加工します。
塊は薄い板に加工されたあとに、再びアルミ缶として販売されます。

鉄や銅のリサイクルの過程

鉄と銅のリサイクル過程は似ていたり、製品によってもリサイクル方法が異なったりすることから、以下ではスチール缶を例にリサイクル過程を解説します。

1.回収
スチール缶の場合もアルミ缶と同様に、分別回収、集団回収、拠点回収という方法で回収します。
また、銅鍋の場合は自治体によっては不燃ゴミに分別されたり、金属のゴミを回収する日が設けられていたりします。

2.運搬
回収業者が再生工場に運びます。

3.選別
運ばれたスチール缶は選別して圧縮します。

4.鉄スクラップ加工
使用した鉄製品などから生じる鉄くずを鉄スクラップといいます。
鉄スクラップは市中スクラップ自家発生スクラップの2種類があります。

さらに市中スクラップは、以下のように工場発生スクラップ、老廃スクラップに分類されます。

  • 工場発生スクラップ→機械などを製造する過程で発生する
  • 老廃スクラップ→廃車など使用された鉄製品として発生する

また、自家発生スクラップは鉄鋼を生産する過程で発生するものです。

鉄スクラップを作るときには、建材であれば長くて厚いものは切断し、プラスチックなど金属以外のものが含まれている場合は、細かく砕いて分類します。

〈鉄スクラップ加工の工程〉

  1. 鉄スクラップなどの原料を配合し、異物も除去して溶解します
  2. 溶解後は鋳型に流し込み、固めて加工します
  3. 加熱した鉄の形を整えます

5.溶解
銑鉄と一緒に転炉に入れ、不純物なども取り除きます。

6.加工
連続鋳造機で冷却されながら、板状に形作られていきます。

7.加熱、冷却をおこなう
加熱と冷却をおこない、スチール缶のようにやわらかい鉄を作ります。

アルミや鉄、銅のリサイクル後

アルミや鉄、銅のリサイクル後

幅広く活用されている金属ですが、リサイクルされるとさまざまな製品に生まれ変わり、再び日常生活で活躍します。
具体的にアルミや鉄、銅などの金属はリサイクル後にどうなるのか、1つずつ解説していきます。

アルミのリサイクル後

アルミ缶は再びアルミ缶に再生されることが多いですが、他にも以下のように生まれ変わります。

  • 日用品
  • 車の部品

アルミ缶だけでも幅広いものに再生されています。
また、使用済みのアルミ缶をリサイクルして再びアルミ缶を製造することを「CAN TO CAN」といいます。
新しくアルミ缶を作るには、使用したアルミ缶が必要なことがよくわかります。

鉄のリサイクル後

さまざまな理由から生じた鉄スクラップは、以下のように生まれ変わります。

  • 建設現場の足場
  • レール

鉄スクラップは、単管足場や枠組み足場など建設現場で使われる足場に生まれ変わります。
他にも車輪を支え、車両をスムーズに走行させる鋼材であるレールにも鉄が使われています。

また、スチール缶は再びスチール缶にリサイクルされることが多いですが、他にも以下のように生まれ変わります。

  • 電気製品
  • 鉄筋
  • 鉄骨
  • 車の部品

スチール缶はリサイクル率が高いことでも知られており、再生後は電気製品や鉄筋などさまざまな製品になります。

銅のリサイクル後

銅製品などがリサイクルされて銅スクラップになると、以下のように生まれ変わります。

  • 電線
  • 電気製品
  • 車の部品
  • 建材
  • 茶器

銅はリサイクルされると電線やテレビなどの電気製品、茶器など幅広い製品になります。
廃電線は大部分がリサイクルされ、再び電線などに生まれ変わります。

金属をリサイクルするメリットと課題

金属をリサイクルするメリットと課題

金属は天然資源のため、リサイクルするメリットが多いです。
本章ではアルミや鉄、銅をリサイクルすることで生じるメリットと課題について解説します。

金属をリサイクルするメリット

金属をリサイクルすることで生じるメリットは、以下のとおりです。

  1. 天然資源である金属を大切にできる
  2. エネルギーの節約につながる
  3. 金属はリサイクルによる劣化がない

1.天然資源である金属を大切にできる
アルミや鉄、銅などの金属は天然資源のため限りがあります。
アルミニウムの場合は、「ボーキサイト」という天然資源を電気分解することで、アルミニウム地金が生まれます。
日本ではアルミニウム地金は輸入でまかなっていますが、ボーキサイトやアルミニウム地金を生み出す国の資源は有限です。

また、鉄の場合は「鉄鉱石」や「石炭」から銑鉄(せんてつ)が生まれます。
日本では鉄鉱石と石炭のどちらも輸入に頼っていますが、アルミニウムの原料と同様に天然資源は有限です。

日本の場合は、銅の原料である銅鉱石もほぼ輸入でまかなっています。

そのためアルミや鉄、銅の原料は3つとも海外からの輸入に頼っていることになり、有限である天然資源を使用していることがわかります。
しかし金属をリサイクルで補うことによって、資源を消費する必要がないため天然資源を大切にできます

資源の枯渇を抑えるためにも、金属はリサイクルすることが重要です。

2.エネルギーの節約につながる
ボーキサイトからアルミニウムを作るためには、電気分解する必要があるため、大量の電気を消費しなければいけません。
しかしリサイクルしたアルミニウムを使うと電気分解の過程が必要ないため、エネルギーの節約につながります。

アルミ缶リサイクル協会のホームページには、以下のように記載されています。

“回収されたアルミ缶から再生地金をつくるエネルギーは、原料のボーキサイトから新しい地金をつくる時のエネルギーのたった3%でOK。なんと97%ものエネルギーが節約できます”
(引用元:アルミ缶リサイクル協会|リサイクルについて)

以上からボーキサイトから作るよりも、アルミ缶をリサイクルして作るときのエネルギーの方がはるかに少ないことがわかります。

また、鉄鉱石から鉄を作る場合や銅鉱石から銅を作る場合にも、熱や電気などのエネルギーを大量に消費します。
しかし鉄や銅もリサイクルすることで、省エネルギーが可能です。
エネルギーがなくなると通常の生活を送ることが難しくなってしまうため、電気や熱などを節約することが大切です。

他にも金属をリサイクルすると二酸化炭素の排出を減らせるため、地球温暖化の防止につながります。

3.金属はリサイクルによる劣化がない
紙やプラスチックなどはリサイクルを続けると徐々に劣化してしまいますが、金属はリサイクルを続けても劣化しません。

アルミ缶をリサイクルして再びアルミ缶を作るように、同じ製品にリサイクルすることを水平リサイクルといいますが、水平リサイクルの場合は劣化しにくいです。
再生後も品質が下がりにくいため、長くリサイクルを継続できます。

金属をリサイクルすることで生じる課題は、以下のとおりです。

  1. リサイクルの過程にもエネルギーが必要
  2. まとめて回収できない

1.リサイクルの過程にもエネルギーが必要
天然資源から鉄などの金属を作る場合と比較すると、リサイクルする方がエネルギーを節約できます。
リサイクルでの省エネルギーは可能ですが、金属はまったくエネルギーを使用せずに作れないため課題といえます。

2.まとめて回収できない
アルミの場合は、他の素材と一緒に使われていたり使用量が少なかったりと、1回にまとめて回収することが難しいです。
特性を活かして食品のパッケージなどにも使われているアルミですが、回収しにくい点は課題といえます。

アルミや鉄、銅のリサイクル後のまとめ

今回は、アルミや鉄、銅のリサイクル後はどうなるのかについて解説しました!

金属のリサイクル後は、以下のとおりでした。

  • アルミ→アルミ缶、日用品、車の部品
  • 鉄→スチール缶、建設現場の足場、レール、電気製品、鉄筋、鉄骨、車の部品
  • 銅→電線、電気製品、車の部品、建材、茶器

再生された後にはさまざまな製品に生まれ変わったり、鉄スクラップは一部海外に輸出されていることがわかりました。

金属はリサイクルしても劣化しにくいことや、天然資源から作られていることからリサイクルの重要性は明らかです。
金属製品は、使用後にリサイクルできるかどうか考えてみることを意識してください。

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