木くずは家庭や事業所など、さまざまな場所で発生します。
たとえば伐採木や剪定枝、木製の家具などがありますが、それらの木くずは適切に処分しなければいけません。
処分方法は、木くずの種類や大きさによっても異なります。
そのため「どう処分すればいいのかわからない」、「処分するときの注意点はあるのか」と、疑問に思っている方も多いと思います。
そこで今回は、木くずの処分方法について、種類や注意点と一緒に解説します!
目次
木くずの種類
木くずの種類はさまざまで、以下のように産業廃棄物と一般廃棄物に分かれます。
- 産業廃棄物→事業活動にともなって生じた廃棄物のうち、法令で定められた20種類の廃棄物のこと
- 一般廃棄物→産業廃棄物以外の廃棄物のこと
それぞれ具体的に見ていきます。
産業廃棄物
産業廃棄物にあたる木くずは、以下のようなものがあります。
- 建設現場で排出される木くず
- 木材などからパルプを製造する過程で排出される木くず
- 木材や家具などの木製品を製造する過程で排出される木くず
- 輸入木材の卸売のときに排出される木くず
- 事業活動から生じ、PCB(ポリ塩化ビフェニル)が染み込んでいる木くず
一般廃棄物
一般廃棄物は、一般家庭から排出される廃棄物の「家庭廃棄物」と、飲食店などのお店や会社から排出される廃棄物の「事業系一般廃棄物」に分かれます。
一般廃棄物にあたる木くずは、以下のようなものがあります。
- 流木
- 剪定枝
- 伐採木
- 家具などの木製製品
- その他に梱包で使う木材など
一般家庭で庭木を剪定したときなどに出る剪定枝や伐採木は、一般廃棄物にあたります。
また、よく家庭で使われている以下の木製製品なども一般廃棄物です。
- カラーボックス
- タンス
- 椅子
- 食器
- まな板
- 時計
排出したときの条件や場面などによって、産業廃棄物に分類されたり一般廃棄物に分類されたりする場合があるため、注意してください。
木くずを処分した後の行方
木くずを処分した後の行方は、大きく分けて「再利用」と「処分」です。
再利用される場合は何に使われるのか、処分される場合はどのような方法で処分されるのかについて、それぞれ詳しく見ていきます。
再利用
再利用には、以下の方法があります。
- チップ化
- 燃料化
- 堆肥化
1.チップ化
木を細かく砕いて木片にしたものを「木材チップ」といいます。
木材チップにした後に、以下のように再利用します。
- 紙を作る
- 建材であるファイバーボードを作る
紙を作るときには、故紙を使用する場合も多いですが、木材チップも紙を作るための大切な原料です。
木材チップから紙を作る場合は、以下の手順でおこなわれます。
- 蒸解釜(じょうかいがま)に木材チップと薬品を入れて煮込むと、繊維ができる
- 繊維を洗い、ゴミなどを洗い出す
- ゴミなどを取り除く
- 繊維と繊維をくっつけているリグニンを取り除いて白くし、洗うと完成
また、チップ化の他にも、以下のようにファイバー化、ペレット化という方法があります。
- ファイバー化→チップをさらに細かく砕き、繊維状にしたもの
- ペレット化→木くずを砕き、乾燥や圧縮をして再び固めたもの
木材チップをファイバー化し、建材の1つであるファイバーボードが作られます。
ファイバーボードは断熱性や吸音性に優れているところが特徴です。
ファイバーボードは、それぞれ密度によってインシュレーションファイバーボード、メディアム・デンシティファイバーボード、ハードファイバーボードに分かれています。
また、ペレット化したものを「木質ペレット」といいますが、木質ペレットは、着火性に優れ発熱量が大きいといった特徴があり、ストーブなどの燃料にも使われています。
2.燃料化
木材チップは紙や建材だけでなく、動植物から生まれたエネルギーを利用して作るバイオマス燃料としても使われます。
木から作られるバイオマスを「木質バイオマス」といいます。
木質バイオマスは、それぞれ発生した場所や状態によって以下のように分けられます。
- 未利用間伐材等
- 製材工場等残材
- 建設発生木材
未利用間伐材等は、利用されていない間伐材などのことです。
なかには消費されているものもありますが、今後も活用していくことが課題になっています。
製材工場等残材は、製材工場などから生じる樹皮などのことで、製紙原料や燃料などに使われています。
建設発生木材は、建設現場で発生するもので、大部分が製紙原料や燃料などに使われています。
また、木材を燃やしてエネルギーを作る過程においては、二酸化炭素を排出します。
しかし木質バイオマスの場合、二酸化炭素は森林が成長する過程で再び吸収されるため、環境に優しいといわれています。
木質バイオマスには、他にも以下のメリットがあります。
- 廃棄物として処理することを防ぎ、資源を有効活用できる
- 木材から木質バイオマスが作られるため、間伐材などを利用する場合は、その森林がある山村地域の活性化につながる
3.堆肥化
木の皮である樹皮をバークといいますが、バークを発酵させ、堆肥として再利用する方法もあります。
バーク堆肥は、リグニンという高分子化合物が多く含まれているため、土壌改良効果が長く続くといわれています。
また、保肥性や保水性も高いため植物がしっかり栄養を吸収できます。
メリットがある一方で、バーク堆肥は撒きすぎると「窒素飢餓」を引き起こしてしまうこともあるため、注意が必要です。
以上のように木材はチップ化、燃料化、堆肥化など、さまざまな形で再利用でき、二酸化炭素の排出も抑えられます。
再利用すると森林伐採する必要がないため、地球環境を守ることができます。
処分
処分するには、以下の方法があります。
- 焼却
- 埋立
1.焼却
木くずを再利用できない場合は、焼却処理されることがあります。
2.埋立
木くずは、焼却の他にも埋立して処分する方法があります。
木くずを埋立する場合は、管理型最終処分場に持ち込まれます。
産業廃棄物を埋立する場所を最終処分場といいますが、最終処分場は以下のように3種類あります。
- 安定型最終処分場
- 遮断型安定処分場
- 管理型最終処分場
安定型最終処分場は、有害物質や有機物が付着しておらず、雨水などにさらされても変化しない安定型産業廃棄物が埋立される場所です。
廃プラスチックや金属くずなどが該当します。
遮断型安定処分場は、有害物質が含まれている廃棄物が埋立される場所です。
有害な燃え殻、汚泥などが該当します。
そして木くずが埋立される管理型最終処分場は、遮断型安定処分場でしか処分できない廃棄物以外の廃棄物が埋立される場所です。
木くずの他に紙くず、繊維くずなども該当します。
木くずの処分方法
はじめて木くずを処分する場合は、わかりにくいことも多いと思います。
家庭や事業所から排出された木くずの処分方法を把握しておくことで、適切な処分が可能です。
本章では木くずの処分方法を、産業廃棄物と一般廃棄物に分けて解説します。
産業廃棄物にあたる木くずの処分方法
産業廃棄物にあたる木くずを処分する場合は、処理業者に依頼する方法があります。
業者に依頼する場合は、以下に注意してください。
- 自治体が許可している業者か確認
- 委託契約書の作成
- マニフェストの作成
自治体に許可されている業者が、産業廃棄物の収集や処分をすることができます。
そのため業者に依頼するときには、自治体が許可している業者か確認してください。
また、業者に委託する場合は委託契約書が必要です。
委託契約書を作成しておくことでトラブルを未然に防げるため、準備しておくといいです。
そしてマニフェストの作成も必要です。
マニフェストとは、廃棄物の処理が適切におこなわれたか確認するために、排出事業者が作成する伝票のことをいいます。
また、産業廃棄物が処理される流れは、以下のように3段階あります。
- 収集運搬
- 処分(中間処理)
- 処分(最終処分)
まず、産業廃棄物を出す排出事業者が、あらかじめ分別などをおこない、収集されるまで保管しておきます。
1.収集運搬
収集・運搬業者がトラックに産業廃棄物を積み、処分場まで運びます。
2.処分(中間処理)
最終処分の前におこなう焼却や粉砕などの処理を、中間処理といいます。
主な処理方法は以下のとおりです。
- 焼却→廃棄物を燃やす
- 破砕→廃棄物を砕く
- 溶融→焼却した後の燃え殻を溶かす
- 脱水→廃棄物の水分を抜く
- 選別→廃棄物の種類などによって分ける
産業廃棄物を処分しやすいように、以上のような中間処理をおこないます。
3.処分(最終処分)
土に埋めて処分する「埋立」や、海に投棄して処分する「海洋投入」、「再生」といった方法で、最終的な処分をします。
産業廃棄物は、以上の流れで処理されます。
一般廃棄物にあたる木くずの処分方法
一般廃棄物にあたる木くずの主な処分方法は、以下のとおりです。
- 自治体での処分
- ゴミ処理場に持ち込む
- 不用品回収業者に依頼する
1.自治体での処分
自治体によって異なりますが、剪定枝などは燃えるゴミの日に出せる場合があります。
燃えるゴミとして出す場合は、自治体のルールにしたがって処分しなければいけません。
また、処分に出す前に木くずではない異物は取り除いておいてください。
大きさによっては粗大ゴミに分類される場合もありますが、小さくカットすることで、可燃ゴミとして処分できる場合もあります。
少し手間がかかるうえ、自治体によっても異なりますが、木製のタンスなども解体すれば可燃ゴミで処分できる場合があります。
2.ゴミ処理場に持ち込む
ゴミ処理場に持ち込み、処分する方法もあります。
住んでいる地域で家庭ゴミを持ち込めるゴミ処理場はどこか、持ち込んでいいゴミの量などに決まりはあるかなどについて、あらかじめ確認する必要があります。
また、予約が必要な場合もあるため注意してください。
3.不用品回収業者に依頼する
処分したい木くずが多い場合は、不用品回収業者に依頼すると便利です。
不用品回収業者であれば、以下のようにメリットが多く、手間や時間もかかりません。
- 少量から大きな木材まで引き取ってもらえる
- 対応が早い業者も多いため素早く処分できる
- はじめに見積もりを出してもらえる
- 持ち運ばなくてもいい
不用品回収業者に依頼する場合はある程度の費用がかかりますが、買取してもらえる業者もあるため、問い合わせて確認することをオススメします。
木くずを処分するときの注意点
木くずを処分するときには、注意しなければいけないことがあります。
本章で、木くずを処分するときの注意点を確認しておきます。
主な注意点は以下の4つです。
- 泥つきのものはなるべく泥を落とす
- 金属、プラスチックとの複合物は、簡単に分離できるようであれば分解・分別して廃棄する
- 一般廃棄物か産業廃棄物かの確認
- 処分費用の確認
泥つきのものはなるべく泥を落とす
泥がついた木くずは処分できない可能性もあるため、できる限り泥は落とすようにしてください。
スムーズに木くずの再利用や処分をおこなうには、木くず以外の異物を取り除くことが大切です。
金属、プラスチックとの複合物は、簡単に分離できるようであれば分解・分別して廃棄する
金属製の金具やネジがついている木製製品や、一部にプラスチックが使われている木製製品などは、分離または分別して廃棄してください。
たとえば掛け時計は、木材とプラスチックなど異素材で作られている場合が多いです。
自治体によってもルールが異なるため、確認してから処分してください。
一般廃棄物か産業廃棄物かの確認
木くずを処分するときには、必ず一般廃棄物か産業廃棄物か確認する必要があります。
なかにはどちらに該当するのかわかりにくい廃棄物もあるため、注意してください。
処分費用の確認
また、一般廃棄物にあたる木くずを処分するときには、ゴミ処理場に持ち込む場合の費用や、不用品回収業者に依頼する場合の費用などをあらかじめ確認しておくことをオススメします。
産業廃棄物にあたる木くずを処分する場合も、処理費用が業者によって異なります。
廃棄物の種類によっても異なるため、木くずの処理費用を確認してから処分の依頼をしてください。
木くずの処分方法のまとめ
今回は、木くずの処分方法について、種類や注意点と一緒に解説しました!
木くずの処分方法は、以下のとおりです。
- 産業廃棄物にあたる木くずを処分する場合→処理業者に依頼する
- 一般廃棄物にあたる木くずを処分する場合→自治体での処分、ゴミ処理場に持ち込む、不用品回収業者に依頼する
住んでいる地域によっても処分するときのルールは異なるため、木くずを可燃ゴミや粗大ゴミに出せる日はいつか、木くずの大きさに決まりはあるか把握しておくことが大切です。
また、処分する前には産業廃棄物か一般廃棄物か確認して、適切に処分するように注意してください。