お役立ちコラム
2023.07.10

プラスチックの捨て方は?処理方法や注意点を解説!

プラスチックの捨て方は?処理方法や注意点を解説!

「プラスチックゴミは今まで燃えるゴミだったのに、どうして急に分別するの?」
「プラスチックゴミの分別収集が始まったけれど、どうしたら良いのかわからない」

上記のように、プラスチックゴミの扱いがわからなくて困っている方は多いのではないでしょうか?
事業者や自治体は、プラスチックゴミが引き起こしている環境問題を解決するために、回収する仕組みを確立し、リサイクルに取り組み始めています。
この記事では、消費者の立場として、回収やリサイクルにどのように取り組んでいけば良いのかについて、わかりやすく解説いたします。

プラスチック新法が施行

プラスチック新法が施行

2022年4月にプラスチック新法(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)が施行されました。、プラスチック製品の企画設計段階から使用後の廃棄物の処理までの全体の流れについて定めており、3R+Renewableという考え方を基本としています。
循環型の経済構造に移行することを目的とした法律です。

3R+Renewableとは

3Rは、プラスチックの使用についての指標を表す下記英単語の頭文字から来ています。

  • Reduce(ごみを減らす)
  • Reuse(ごみを再利用する)
  • Recycle(ごみをリサイクルする)

後に追加されたRenewableは再生可能という意味です。
プラスチック製品をできるだけ再生素材や再生可能資源(紙・バイオマスプラスチック等)に適切に切り替えていくことを指しています。

プラスチックゴミは「ゴミ」から「資源」へ

プラスチックゴミは「ゴミ」から「資源」へ

プラスチックゴミの処理方法は、技術の革新とともにかなり変化を繰り返してきました。プラスチックゴミ処理の変遷について理解しておきましょう。

プラスチックゴミはなぜ燃えるゴミになったのか

プラスチックを燃やすと、ダイオキシンのような有害物質が発生すると教えられた人は大勢いると思います。実際に東京都北区では、2008年までは不燃ゴミとして回収されています。

しかし、プラスチックは800℃以上で完全燃焼させれば有害物質は発生しないという科学的知見が確立し、法律も2001年に改正されています。
現在稼働している廃棄物焼却炉の多くは800℃以上での焼却が可能となり、プラスチックを含めほとんどのゴミを燃えるゴミとして完全燃焼させています。
つまり、800℃以上での焼却が可能な廃棄物焼却炉を持つ自治体の多くは、燃えるゴミとしてプラスチックを処理してきたわけです。

資源ゴミとしてのプラスチック

燃やしても有害物質が出ないのであれば、プラスチックゴミを今まで通り燃えるゴミとして処分すれば良いと考えるのは自然だと思うのですが、2022年の法改正で考え方が180度変更されました。それはいったいどうしてなのでしょうか。

その背景にはプラスチックゴミをアルミ缶やペットボトル、故紙などと同じように、資源として再活用しようという意識の変化があります。
例えばアルミ缶は、塗料やゴミなどを取り除き、700℃で熱することで新たにアルミ板として利用することで、ほぼ100%の資源循環に成功しています。

また、ペットボトルは洗浄した後フレーク状に細かく粉砕した後、熱して粒状にすることで新たな原料として使用されています。再びペットボトルにするだけでなく、衣服や文房具などの製品に生まれ変わっているのです。
アルミ缶やペットボトルと同じように、プラスチックゴミを資源として再活用しようと考えるようになったというわけです。

3つのリサイクル方法

プラスチックゴミには3つのリサイクル方法があります。
「マテリアルリサイクル」とは、ペットボトルなどと同じような加工を施して、再びプラスチックとして利用するリサイクル方法です。倉庫にあるパレットや車止めなどに使われています。

「ケミカルリサイクル」とは、プラスチックゴミに化学的な処理を施して、原料に戻してからリサイクルする方法です。プラスチックを再び石油のように油化したり、ガス化して化学原料としたり、燃料油やコークス炉の化学燃料として再利用しています。
「サーマルリサイクル」とは、プラスチックゴミと故紙類などを混ぜてRPFという高カロリーの固形燃料を作るリサイクル方法です。製紙工場などで石炭の代わりになる燃料として利用されています。

サーマルリサイクルはリサイクルと呼べるのか

サーマルリサイクルは、燃料として再利用しているわけですからリサイクルと呼んでも問題ないというのが日本の考え方です。
しかし、欧米では実はリサイクルとして認められていません。
プラスチックゴミを原材料へ再生をするわけでなく、二酸化炭素の大量排出につながる燃料として利用をしているということが問題視されているのです。

有害物質は排出しませんが、燃やすという行為は二酸化炭素を始めとした温暖ガスを排出します。地球温暖化問題に直結する行為は看過できないというのが欧米諸国の考え方ですので、日本も将来的には「マテリアルリサイクル」や「ケミカルリサイクル」に移行させなければならないでしょう。

東京都の取り組み

東京都は2023年に使い捨てプラスチックの大幅なリデュース・リユースや、バージン資源と同等の樹脂に戻す水平リサイクルの実装化を推進するため、革新的技術・ビジネスモデルの社会実装を目指す事業者の公募を開始しました。
選定された場合、東京都は1件につき事業費の1/2の範囲内、500万円までの負担金を交付することになります。

このようなサーマルリサイクル以外のリサイクル推進に力を入れている取り組みは、今後拡大していくでしょう。

種類別のゴミの出し方や処理方法

種類別のゴミの出し方や処理方法

ここでは、具体的にプラスチックゴミの出し方や処理方法についてみていきましょう。

プラスチック製包装紙

プラマークが付いている包装紙は全て分別回収の対象となります。中にはプラマークが付いていない包装紙もありますが、そういったものは分別対象にはならないのでご注意ください。プラマークが付いているかどうかを必ず確認しましょう。
例えば、インスタントラーメンなど食料品の入っている袋などが該当します。

プラスチック製容器

プラスチック製容器とは、中身(商品)を取り出し、使い切った後の不要となる容器のことを指しています。容器自体にプラマークが付いていない場合は、包装紙に記載されていますので、事前に確認しておくようにしましょう。

例えば、カップ麺の容器や調味料のキャップやチューブなどが該当します。
容器は汚れている場合が多いですが、水ですすぐなどして必ず落としてから出すようにしなければなりません。軽く洗っても汚れやにおいが落ちない場合は、分別対象にはなりませんのでご注意ください。

プラスチック製品

プラスチック製品とは、プラスチック素材だけでできているプラスチック製品です。例え少量であってもプラスチック以外のもの(ネジなどの金属部品や電池、内部モーターなど)が入っているものはプラスチックゴミとしての分別対象にはなりません。リサイクル施設の故障の原因にもなりかねませんので、注意してください。
例えば、定規などの文房具やプラスチック製ハンガー、タッパーや弁当箱などが該当します。

医療関連製品

在宅医療で使用したプラスチック使用製品は資源ゴミとしては回収できません。分別の際、人の手を介することが多いため、ゴミを通じて医薬品に触れてしまう恐れがあるからです。必ず可燃ゴミや不燃ゴミとして出すか、医療機関の指示に従って処分してください。

環境問題で注意すべき点とは

環境問題で注意すべき点とは

プラスチックは、その加工のしやすさと、強度の割に軽いという利便性を背景に、現代社会にあっという間に浸透し、あらゆる素材の代替えとして使用されるようになりました。しかし同時に、自然分解されないという性質が環境破壊という問題を地球規模で引き起こしてしまいました。
ここでは、世界中で起きている問題について、わかりやすく解説していきます。

気候変動問題

気候変動とは、主に人間の経済活動において排出される温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素など)の増加によって、地表に熱がたまり、地球上の気温があがっていることを指しています。
北極や南極、氷河などにある氷が溶けて海面が上昇したり、台風やハリケーンによる洪水、熱波による干ばつなど、様々な問題を引き起こしています。
プラスチックは石油からつくられているわけですが、プラスチックを処分する際にはほとんどが燃やされていますので、完全燃焼により有毒ガスは発生しなくなったとしても、温室効果ガスは発生します。

また、2018年に米ハワイ大学マノア校海洋地球科学技術学部のデービッド・カール教授が主執筆者として米科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に投稿した論文では、プラスチックは劣化が進むと、メタンやエチレンなどの強力な温室効果ガスを放出することが報告されています。
さらに、この論文にはレジ袋に使われているポリエチレンは、温室効果ガスを最も多く放出するプラスチックであることが指摘されています。

海洋プラスチックゴミ問題

プラスチックでつくられる製品は安価な製品が多いこともあり、使い捨て感覚で使用されることが多く、ゴミを投棄している意識がなくても、適切な処理がなされずに捨てられてしまうことが多々あります。
そうして生まれたプラスチックゴミの多くは、海に流れていき、海洋環境に深刻な影響を与えています。

例えば、海で暮らす生物が誤ってプラスチックを摂取し、窒息してしまったり、体内に蓄積されて内臓を傷めたりといった事例は既に多く発生しておりますし、またサンゴ礁や海草などの生息地がプラスチックゴミで覆われてしまい、死滅するといったようなケースもみられます。

そのような目に見える影響だけでなく、太陽光や波などによって時間をかけて分解されたププラスチックゴミは微小な粒子(マイクロプラスチック)となり、それを海の生物が摂取し、体内に蓄積されたものを人間が食べるという状態は、既に日常化しているのです。
マイクロプラスチックが人体にどのような影響を与えるのかについては、まだほとんど解明されていませんが、解明されたときには手遅れだったという可能性も否定しきれないでしょう。

廃棄物輸入規制強化

日本はかつて、多くのプラスチックゴミを「プラスチックのくず」に加工して海外に輸出してきました。2014年では約167万トンも輸出していたのが2020年には約82万トンとなり、7年連続の減少とはなっていますが、まだまだ多くの処理を海外に頼っています。
2017年に中国が段階的な廃プラスチック輸入禁止措置を打ち出したことを背景に、世界的に廃棄物の輸入に対する規制が強化されています。

2021年には、汚れたプラスチックゴミを輸出する際には事前に相手国の同意が必要とされるようになり、今までのように処理を海外へ頼ることはできなくなってきています。
いずれ全面禁止となる可能性が高く、日本は国内で処理できる体制を早急に確立する必要があるのです。

まとめ

日本は、2030年までに、ワンウェイのプラスチック(容器包装等)を累積で25%排出抑制することを目指しています。(リユース・リサイクル)

また、2035年までに、すべての使用済みプラスチックをリユース又はリサイクルし、熱回収も含め100%有効利用することを目指しています。
これらの「マイルストーン」は、全ての国民が生活習慣そのものを変えていかなければ決して成しえることはできません。
安く、軽く、加工しやすいプラスチック製品は、我々の日用品の多くを材料にとって代わり、生活習慣を「使い捨て」の社会へと変えてしまいました。
レジ袋やプラスチック製の食器を使わないようにすることは、「使い捨て社会」そのものをやめることになり、最終的にはゴミ自体を減らすことにもつながっていくのではないかという期待感があります。
プラスチックゴミの問題に取り組むことから、現代に生きる我々が何をすべきなのかについて考えていきましょう。

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