プラスチック資源循環促進法は、環境や資源を守るために考えられた法律です。
どのような理由で制定されたのか、そして実際に企業が取り組んでいる例を紹介します。そのうえでプラスチック資源循環促進法につながる家庭でできる行動も解説しますのでぜひ参考にしてください。
目次
プラスチック資源循環促進法とは

プラスチック資源循環促進法は、プラスチックを「使い捨てる前提」から「資源として循環させる前提」へ転換するために考えられた法律です。
私たちの生活において、レジ袋や容器包装は欠かせないアイテムです。しかし、消費量が多いゆえに身近なプラスチックが環境問題や資源問題につながっている現状があります。
そこで、事業者と消費者の双方に行動変化を求める目的で制定されました。
この法律が背景としている主な課題は、次の三点です。
・海洋プラスチックごみの増加
・化石資源に依存したプラスチック利用の限界
・大量生産・大量廃棄から循環型社会への転換
以下では、それぞれの背景を整理します。
海洋プラスチックごみの増加
海洋プラスチックごみは、海に捨てた不要物だけでなく不法投棄された不要物が海にまで流出し、漂っている状況を意味します。
不適切に捨てられたプラスチックは河川から海へ流出し、長期間分解されずに残り続けます。
微細化したプラスチックは、海洋汚染への影響が懸念されています。また、ウミガメなどの生き物が不要物を誤飲してしまうなどの生態系への影響も起きてしまいます。
資源制約の問題
多くのプラスチックは石油などの化石資源を原料としています。資源価格の変動や将来的な枯渇リスクを考えると、使い捨て前提の利用を続けることは持続的ではありません。
使用後のプラスチックを資源として再利用する仕組みを整えれば、限りある資源の消費の軽減につながるのです。
循環型社会への転換
これまでの社会は「作る・使う・捨てる」が基本でしたが、プラスチック資源循環促進法では「減らす・繰り返し使う・再資源化する」流れを制度として後押しします。
製品設計の段階からリサイクルしやすさを考えることや、消費者が分別や回収に協力することも法律の前提に含まれています。
この法律は、単にプラスチックを減らす規制ではありません。環境負荷を下げながら資源を有効活用し、社会全体で循環を作る枠組みにつながります。
プラスチック資源循環促進法の5つの措置

プラスチック資源循環促進法では、製造・販売・使用・回収までの全体で循環を進める仕組みが定められています。
以下では、それぞれの内容と具体的な考え方を整理します。
環境配慮設計
プラスチック資源循環促進法では、製品を作る段階からリサイクルしやすさを考える設計が求められます。
具体的には次のように、設計段階から考えられています。
・単一素材に近づける
・パーツを最小限にするなど分解しやすい構造にする
・再生材を使いやすい素材を選ぶ
従来は「使いやすさ」や「コスト」が優先されがちでしたが、この措置では使用後の処理まで含めた設計が前提になります。
設計段階で工夫することで、回収後の分別や再資源化の効率が向上します。
使い捨てプラのリサイクル促進
フォークやスプーン、ストローなどの使い捨てプラスチックは、廃棄量が多く、環境負荷が問題視されてきました。
この法律では、使用量を抑える工夫とあわせて、リサイクルにつなげる取り組みを促進します。
事業者には、提供方法の見直しや代替素材の検討、回収しやすい仕組みづくりが求められます。
完全にプラスチックを使わない方向だけでなく、使った後に資源として循環させる視点が重視されています。
市区町村の分別収集・再商品化の後押しになる
プラスチック資源循環促進法では、市区町村が行う分別収集や再商品化の取り組みを制度面で支援します。
これにより、これまで可燃ごみとして処理されていたプラスチックを、資源として回収する流れを広げる狙いがあります。
自治体ごとに事情は異なりますが、分別区分の見直しや新たな回収方法の導入が進めやすくなります。分別ルールがわかりやすいと、住民の分別協力率向上につながります。
製造・販売業者の自主回収促進
製品を市場に出す事業者自身が、使用後の製品を回収する仕組みを整えることも重要です。
たとえば、店頭回収や回収ボックスの積極的な設置などがあります。
事業者が回収に関与することで、素材や構造を理解したうえで再資源化につなげやすくなります。行政任せにせず、事業者自らが循環の一部を担う考え方です。
排出事業者の排出抑制・再資源化促進
オフィスや店舗、工場などから出る事業系プラスチックについても、排出量を減らし、再資源化を進める努力が求められます。
単に廃棄物として処理するのではなく、発生自体を抑える工夫や、分別して資源化ルートに乗せる対応が重要になります。
これは事業活動と環境配慮を両立させる取り組みが促されます。
結果として、プラスチックの使用から廃棄までの流れ全体が見直されるきっかけになるのです。
対象になるプラスチック4種

プラスチック資源循環促進法では、プラスチックを一括りにせず、性質や排出段階ごとに4種類に分類しています。
事業者の義務や自治体回収の位置づけが把握しやすくなります。
・プラスチック使用製品
・使用済みプラスチック使用製品
・プラスチック使用製品廃棄物
・プラスチック副産物
以下では、それぞれが何を指すのかを具体例とあわせて整理します。
プラスチック使用製品
プラスチック使用製品とは、製品の全部または一部にプラスチックが使われている状態の製品です。
日用品や容器、カトラリー、文房具など、私たちの生活や事業活動の中で使用されている段階の製品が該当します。
この段階では「どう作るか」が重視され、環境配慮設計の対象です。
使用済みプラスチック使用製品
使用済みプラスチック使用製品は、一度使われた後、まだ廃棄物として排出されていない状態の製品を指します。
店舗で回収された使用後のスプーンや、回収ボックスに入れられた使用済み容器などが例です。
これは製造・販売事業者による自主回収や再使用、再資源化への誘導が想定されています。
プラスチック使用製品廃棄物
プラスチック使用製品廃棄物とは、使用後に不要となり、廃棄物として排出されたプラスチック製品を指します。
家庭から出るプラスチックごみや、事業所から排出される使用済み製品が該当します。
市区町村による分別収集や再商品化、事業者による排出抑制や再資源化の取り組みが中心になります。可燃ごみとして処理していた流れを見直し、資源として循環させる役割を担います。
プラスチック副産物
プラスチック副産物は、製品の製造工程などで発生する端材や不良品、切れ端などのプラスチックを指します。
完成品ではないものの、事業活動の中で継続的に発生する点が特徴です。
廃棄を前提にせず、再利用や原料としての再資源化を進めることが求められます。
業種別のプラスチック資源循環法の具体例

プラスチック資源循環促進法は、特定の業界だけを規制する法律ではありません。
業種ごとの業務特性に応じて、使い方や提供方法を見直すことが前提になっています。
ここでは、実務でイメージしやすい三つの業種を例に、具体的な対応内容を整理します。
それぞれの現場で、どのような工夫が求められるのかを見ていきます。
飲食店
飲食店では、テイクアウトやデリバリー時の使い捨てプラスチックの扱いが主な対象になります。
フォークやスプーン、ストローなどを無条件で付けるのではなく、必要な人にだけ提供する仕組みへ切り替えることが基本的な対応です。
加えて紙製や木製などの代替素材を選ぶ、容器のサイズや形状を見直して使用量を減らすといった工夫も含まれます。
完全に使わないことだけが目的ではなく、使用量の削減と資源循環につながる選択が求められています。
ホテル
ホテル業では、アメニティ類の提供方法の見直しが代表的な取り組みになります。
歯ブラシやかみそり、ヘアブラシなどを客室に常備するのではなく、フロントで必要な分だけ提供する方式へ変更する例が増えています。
この方法により、未使用のまま廃棄されるプラスチック製品を減らせます。再生素材を使ったアメニティへの切り替えや、詰め替え型容器の導入も、資源循環の観点から評価される取り組みです。
クリーニング
クリーニング業では、ハンガーや衣類カバーの扱いが大きなポイントになります。
毎回新しいハンガーやビニールカバーを付けるのではなく、不要な場合は付けない選択肢を用意することが基本的な対応です。
あわせて、使用後のハンガーやカバーを店舗で回収し、再利用や再資源化につなげる導線を整えることも重要です。
排出量そのものを減らしつつ、回収と循環を前提にした運用が、法律の考え方に沿った対応になります。
家庭でできるプラスチック資源循環促進法への取り組み

プラスチック資源循環促進法は、事業者だけでなく家庭での日頃からの意識が、促進に役立ちます。
日常の中で少し意識を変え資源循環に直接つなげましょう。
自治体ルールに合わせて分別する
家庭で最も基本となるのが、居住地の自治体ルールに沿った分別です。
プラスチックは「容器包装プラスチック」「プラスチック資源」「可燃ごみ」など、自治体ごとに扱いが異なります。
自己判断で分別すると、再資源化できるものが焼却に回ったり、回収不可になったりします。自治体が配布している分別一覧や公式サイトを確認し、決められた区分で出しましょう。
処分前に汚れをできるだけ落とす
プラスチック容器は、中身の汚れを落としてから出すことが再資源化の前提になります。
食品や油汚れが容器に残っていると、リサイクル工程に支障が出るため、焼却処理に回される可能性が高くなります。
洗剤を使って完璧に洗う必要はありません。水ですすぐ、紙で拭き取るなど、無理のない範囲で汚れを除去する対応で十分です。
この一手間が、資源として循環できるかどうかの分かれ目になります。
店頭回収や拠点回収も活用する
自治体回収だけでなく、店頭回収や拠点回収を併用することも有効です。
スーパーや家電量販店では、プラスチック製容器、トレー、小型家電、電池類などを回収しているところが多くあります。
これらの回収は、素材ごとに再資源化しやすい点が特徴です。自治体回収に出せない品目でも、回収ルートが用意されている場合があります。
自宅周辺にどのような回収拠点があるかを把握しておくと、分別の選択肢が広がります。
まとめ
プラスチック資源循環促進法は、社会全体でプラスチックを循環させる仕組みをつくるための枠組みです。
事業者には設計や提供方法の見直しが求められ、家庭には正しい分別や回収への協力が求められています。
家庭でできる取り組みは、自治体ルールを守ること、汚れを落として出すこと、回収ルートを使い分けることを心がけましょう。
一つひとつは小さな行動ですが、積み重なることで再資源化の量と質が高まり、循環型社会に近づいていけるのです。
