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2025.12.10

リユース・リデュース・リサイクルの3Rで考える環境問題!企業の取り組み事例は?

リユース・リデュース・リサイクルの3Rで考える環境問題!企業の取り組み事例は?

リユース・リデュース・リサイクルの3Rで考える環境問題!企業の取り組み事例は?

リサイクルを含めた3Rは、学校の授業でも習う環境負荷を減らすための考え方です。
3Rの「リユース・リデュース・リサイクル」の言葉だけは知っていても、それぞれどのような違いがあるのかを知っていますか?

この3つの違いを意識すると、限りある資源を大切に使い、廃棄物を減らす社会の実現につながります。
本記事では3Rで考える環境問題について、企業の取り組み事例を中心に紹介します。

3R(リユース・リデュース・リサイクル)とは?

「リデュース(Reduce)」「リユース(Reuse)」「リサイクル(Recycle)」の頭文字を取ったものが「3R」と呼ばれます。

3Rの考え方は次のように整理できます。

  • 3Rが注目される背景と環境問題との関係
  • 3Rのバランスが環境問題の解消につながる

なぜこの2つが大事なのか、以下で詳しく解説します。

3Rが注目される背景と環境問題との関係

結論として、今「3R」が注目される理由は「環境問題の深刻化」にあります。世界では、資源の大量消費や廃棄物の増加が深刻な問題となり、地球温暖化や海洋汚染の原因になっています。

その背景には、使い捨て文化の拡大やプラスチックごみの増加があります。日本国内でも、年間数千万トン以上のごみが発生しており、その処理には膨大なエネルギー、人員、そして時間が必要です。結果としてCO₂排出量が増え、気候変動をさらに悪化させています。

こうした状況を受け、政府や企業は「持続可能な社会」を目指す取り組みを強化しています。3Rは、その実現に欠かせないキーワードとして注目を集めています。

3Rのバランスが環境問題の解消につながる

3Rはそれぞれ独立した行動に見えますが、実際には相互に関係しています。リデュースでごみの発生を抑え、リユースで製品の寿命を延ばし、リサイクルで資源を再利用する。これらがバランスよく機能することで、初めて環境負荷の大幅な削減が可能になります。

たとえば、リデュースだけを重視しても既に出たごみの処理は進みませんし、リサイクルだけに頼るとコストやエネルギー負担が増大します。3Rを組み合わせることで、効率的かつ持続的な環境対策が実現できるのです。

リデュース・リユース・リサイクルの違いと具体例

ここからは、3Rのそれぞれの意味と具体的な実践例を紹介します。
3Rはどれも重要ですが、目的と手段が異なります。次の3つの違いを知ると、不用品を処分する際の参考になります。

  1. リデュース:ゴミを出さない工夫
  2. リユース:繰り返し使う仕組み
  3. リサイクル:資源として再利用する仕組み

以下で、それぞれの違いを順に説明します。

リデュース(Reduce):ゴミを出さない工夫

リデュースとは、「ごみを減らすこと」を意味します。根本的に廃棄物を出さないように生活スタイルや購入品を見直す考え方で、3Rの中でも特に優先したい取り組みです。

たとえば、使い捨てプラスチックの削減や過剰包装の見直しが代表例です。飲食店でマイボトルやマイ箸を使うことも、リデュースの一環といえます。

企業では製品設計の段階で長く使える素材の採用、部品の交換で延命できる仕組みを取り入れるなどさまざまな動きが広がっています。

こうした取り組みは、廃棄物の発生そのものを抑える効果があり、リサイクルにかかるコストやエネルギーも削減できます。

結果として、環境への負荷を最も効率的に軽減できるのがリデュースです。

リユース(Reuse):繰り返し使う仕組み

リユースとは、一度使ったものを再利用することです。捨てずに繰り返し使うことで、資源の消費を抑える効果があります。

具体的には、リユース食器の導入、リユースびんの回収システム、中古品の再販売などが挙げられます。近年では、フリマアプリやシェアリングサービスの普及により、消費者レベルでのリユースが加速しています。

また企業では、オフィス家具やパソコンをリユース市場に流通させ、廃棄物を減らす動きも見られます。
こうした循環型の仕組みは、経済的にも環境的にも製造コストと廃棄コストともに下がるメリットがあります。

リサイクル(Recycle):資源として再利用する仕組み

リサイクルとは、使用済み製品や廃棄物を資源として再利用することです。すでに出た廃棄物を再び原材料に変えることで、資源の有効活用と廃棄物削減を両立できます。

具体的には、ペットボトルを再生繊維に変えて衣料品に利用する事例や、使用済み紙の再生紙化、廃プラスチックの燃料化などがあります。

生産ラインで発生する端材を再利用したり、容器包装の再資源化したりと、国内だけでも業界を超えた動きが進んでいます。
これらの取り組みは、限りある資源を循環させ、持続可能な社会の構築に貢献しています。

3Rの取り組みがもたらす3つの効果

3Rへの取り組みは、単に環境に優しいだけでなく、企業や個人にとっても多くのメリットをもたらします。

よりくわしく3つの期待できる効果を見ていきましょう。

環境負荷の削減

3Rの最も直接的な効果は、環境への負荷を減らせることです。リデュースによって廃棄物の発生自体を抑え、リユースやリサイクルによって資源を再利用すれば、CO₂排出量の削減や天然資源の保護につながります。

たとえば、ペットボトルのリサイクルによって新たなプラスチックを製造する量を減らすと、石油資源の使用量と生産時のCO₂排出を同時に抑制できます。
こうした負荷軽減のための日々の積み重ねが、地球温暖化防止や生態系の保全に寄与しています。

企業のブランド価値・社会的信用が向上

環境に配慮した経営は、企業の信頼性を高める要素です。
消費者の環境意識が高まるなかで、持続可能な取り組みを行う企業は「社会的に責任あるブランド」として支持を得やすくなっています。

たとえば、リサイクル素材を使った製品を販売したり、回収プログラムを設けたりする企業は、環境への姿勢が明確に伝わります。

このような活動は、単なるCSR(社会的責任)にとどまらず、顧客からの信頼獲得という企業評価の向上、そして従業員のやりがい、誇りにもつながっていくのです。

コスト削減や新しいビジネス展開

3Rの推進は資源やエネルギーの無駄を減らすことで、製造コストや廃棄コストの削減が可能です。

さらに、再利用や再資源化を基盤とした新しいビジネスモデルの創出にもつながります。

たとえば、シェアリングサービスやリユース市場、リサイクル素材を活用した新製品の開発など、環境対策がそのまま企業の成長戦略になりつつあります。

企業が取り組む3Rの事例6選

3Rの考え方は、多くの企業が具体的な行動として実践しています。ここでは、先進的な取り組みを行う6社の事例を紹介します。

ソフトバンク:説明書の電子化・携帯端末回収など3Rの取り組み

ソフトバンクは通信・IT企業として、資源循環(3R)を経営戦略に組み込み、廃棄物削減と再資源化を推進しています。

モバイル端末や付属品には希少金属やプラスチックなど限られた資源が含まれており、使い捨てを繰り返すと環境負荷につながります。

そこでソフトバンクでは「資源循環を経営課題の一つ」と捉え、不要になった携帯電話端末を無料で回収・リサイクルを実施してきました。

端末や充電器などに含まれる金・銀・銅・コバルト・パラジウムなどを回収し、電子部品の原料として再利用しています。

紙の説明書を電子化して、紙資源の使用を抑制。包装や付属物を見直すことで、製品提供プロセスでの廃棄物発生を減らす取り組みも行っています。

参考:ソフトバンク株式会社

ユニクロ:古着の回収・服の長寿命化への取り組み

ユニクロはアパレル企業として「服を長く使う・最後まで活かす」循環型の仕組みを強化しています。

衣料の製造は季節ごとに新商品が作られるなど、常に消費と製造が繰り返されています。膨大な資源、エネルギーの使用で、不要になった衣類を燃やすなどの廃棄コストも大きな課題になっているのです。

そこで、単に製造・販売するだけでなく、使用後の循環を設計することで環境負荷軽減につなげています。

全国の店舗に「RE.UNIQLO回収ボックス」を設置し、不要になったユニクロ・GU商品を回収しています。これにより、リユース可能な服とリサイクル素材として活用される服に仕分けられます。

回収された服は、状態が良いものはそのままリユースとして世界中の支援団体に寄付されています。状態が劣るものは、たとえばダウン素材等を取り出して新たな衣料に再利用、また服として使えないものは断熱材・防音材など繊維資源に使われています。

「服から服へ」のリサイクルへの挑戦として、回収したダウン・フェザーを100%使用した「リサイクル ダウンジャケット」を新発売するなど、新製品開発にも循環の考え方を適用しています。

参考:株式会社ユニクロ

サントリー:容器の再利用・包装の見直し

サントリーグループは容器・包装材の設計段階からリデュース・リサイクルを意識し、「資源循環」を重点テーマの一つに位置づけています。

飲料・食品業界ではペットボトル、ガラス瓶、段ボール等の包装資材量を多く使用します。そこで、軽量化・素材見直し・再利用・再資源化を行わなければ資源投入と廃棄の両面で環境負荷の原因につながるのです。

サントリーでは「ボトル to ボトル(使用済みペットボトルを新たなペットボトルに再生)」という水平リサイクル技術を、2011年に国内飲料業界で初めて確立。

化石由来原料を使用する場合と比べて、CO₂排出量を約60%削減可能とされています。

2030年までにグループで使用するすべてのペットボトルを「リサイクル素材または植物由来素材」に切り替え、化石由来原料の新規使用をゼロにするという目標を掲げています。

ガラス瓶の軽量化やリユース瓶(洗浄・再使用)・ワンウェイ瓶のカレット化(瓶を砕いて新たなガラス原料に)など、包装材全体の設計改善を行っています。

参考:サントリーホールディングス株式会社

京成電鉄:ビニール傘をシェアするアイカサ

京成電鉄は駅を活用して傘のシェアリングサービス「アイカサ」を導入し、使い捨て傘の廃棄を抑えるリユース型の取り組みを行っています。

日本では壊れやすいビニール傘が大量に使われ、短期間で廃棄される“使い捨て傘”が環境負荷の一因になっています。「アイカサ」は2018年12月に本格開始され、「使い捨て傘をゼロに」というミッションを掲げています。

京成電鉄では2019年6月12日から上野駅にレンタルスポットを設置し、駅利用者が傘を借りて返せる仕組みを導入しています。

2024年9月26日には京成本線・押上線・金町線の計14駅にレンタルスポットを設置し、サービスの拡大を図っています。

利用者はスマホアプリ等で最寄りの傘スポットを検索し、傘を借り、雨が上がったら返却するシンプルなスタイルです。購入型の使い捨て傘を減らすことが、資源投入と廃棄量の削減が期待されています。

結論として、この取り組みは“日常インフラ”を活用してリユースを促すユニークな例であり、交通・公共空間と3Rの接点を作っている点が注目です。

参考:PR TIMES 9/26、京成電鉄の首都圏内14駅で「アイカサ」を提供開始。計15か所にレンタルスポットを設置。

株式会社クラダシ:消費者とフードロス食品のマッチングサービス

クラダシは賞味期限が近いなどの理由からまだ食べられるものの廃棄される食品の「フードロス」を防ぐための独自サービスを提供しています。

これまでにソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営し、通常廃棄予定だった食品を消費者向けに販売してきました。これにより食品ロス削減とCO₂削減効果を両立しています。

「かくれフードロス」(加工過程・流通段階での未活用食品)に対する商品の開発・販売プロジェクト「THE GREEN TABLE」を始動し、廃棄されがちな素材も価値化しています。

持続可能な消費を促す“選ぶ・買う・体験する”視点で、消費者参加型の環境活動としても機能しています。

参考:株式会社クラダシ

セブン&アイホールディングス:未使用食品の回収や持ち帰り容器の提供などフードロス削減

結論として、セブン&アイ・ホールディングス(グループ)は店舗運営を通じて、食品ロス削減とリユース容器・持ち帰り文化の拡大など3Rに関連する多面的な取り組みを行っています。

理由として、小売業は日常生活への影響が大きく、店舗・物流・消費者の3段階で廃棄・消費過多・使い捨てなどの課題を抱えており、これを改善することで、資源・廃棄物・環境負荷を大きく削減できるからです。

環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を策定し、食品廃棄物量(売上100万円あたり)を2013年度比で2030年までに50%削減、2050年までに75%削減を提案しています。

店舗で未使用・未開封食品を回収する「フードドライブ」を展開。家庭で買い過ぎて余った食品を店舗で回収し、福祉施設等に寄付する仕組みによって未利用食品を無駄にしない取り組みに力を入れているのです。

また、持ち帰り可能な容器(リユース容器/持ち帰り用植物由来素材容器)を導入し、食べ残しや使いきれなかった商品の廃棄を防ぐ工夫をしています。

参考:セブン&アイホールディングス

私たちが日常生活でできる3Rの実践方法

この3Rは企業だけでなく日常でも実践できる取り組みが数多くあります。中でも明日からでも取り組める、意識したいポイントを見ていきましょう。

ゴミの分別方法を見直す

分別が不十分だと、再利用できる資源が焼却や埋め立て処理に回されてしまいます。正確な分別を行うことは、リサイクルの質を高めるために欠かせません。

例えば、ペットボトルにラベルやキャップが付いたまま排出すると、リサイクル工程で手間やコストが増え、再資源化の効率が下がります。

また、自治体によって分別ルールは異なり、数年ごとに改定される場合もあります。そのため、定期的に自治体の最新情報を確認しましょう。

このように正しい分別を心がけることが、地域全体のリサイクル効率を高める第一歩になります。

買い物や消費の仕方を見直す

買い物の仕方を見直すことが、廃棄物の発生を減らす「リデュース(Reduce)」の実践になります。これは一人ひとりが不要なものを買わない・長く使えるものを選ぶだけで、廃棄物の量を大幅に減らせるためです。

具体的には詰め替え用商品やリフィル製品を選ぶ、耐久性の高いものを購入する、シェアリングサービスを利用するなどが挙げられます。

たとえば、衣類のレンタルやカーシェアなど「必要なときだけ使う」仕組みを活用すれば、資源を無駄にせずに済みます。

消費行動を少し工夫するだけでも、日常生活から環境への負担を減らせるのです。

不必要な包装・レジ袋を受け取らない

レジ袋や過剰包装を断ることは、最も身近で効果的なリデュースの取り組みです。理由は、使い捨てプラスチックを減らすことで、資源の節約とCO₂排出削減の両方につながるからです。

具体的には買い物時にマイバッグやエコバッグを持参する、飲食店でマイボトルやタンブラーを利用するなどの方法があります。

また、ギフトや商品の包装について「簡易包装でお願いします」と一言伝えるだけでも、資源削減に貢献できます。一人ひとりの選択が積み重なることで、社会全体の意識変化を生み出すことができます。

まとめ

私たちが日常の中で実践できる「地球を守るための小さな行動」です。廃棄物を減らし、繰り返し使い、資源として再利用する。この3つの意識を持つことで、環境負荷を減らし、持続可能な社会の実現に近づきます。

一人の行動は小さくても、多くの人が続ければ確実に社会は変わります。今日からできる3Rの実践を、自分の暮らしに取り入れましょう。

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