「ペットボトルって何にリサイクルされてるの?」
「ボトルtoボトルという言葉を見かけるけど、どのようなリサイクル方法かわからない」
このようなボトルtoボトルに関する、疑問や悩みがありませんか。ボトルtoボトルは、ペットボトルを再度ペットボトルに製品化する方法です。
本記事ではボトルtoボトルの特徴や、ほかのリサイクル方法との違いを解説します。また、ボトルtoボトルが注目される理由や、普段からできる取り組みをまとめているため、参考にしてください。
ボトルtoボトルとは?
ボトルtoボトルは、飲料用、調味料などの食品用のペットボトルを、新しい食品用ペットボトルにリサイクルする方法です。
別名「水平リサイクル」と呼ばれており、使用したペットボトルをそのまま再生できるため「循環型リサイクル」として注目されています。
・ケミカルリサイクル:化学分解によって新しいPET樹脂を作る
・メカニカルリサイクル:異物除去や高温による処理でペレット化したうえでペットボトルにする
どちらもボトルtoボトルの方法であり、ペットボトルをいったんフレーク化するまでは同じです。
その後にペットボトルに再製品化するまでの製造工程が異なります。
ほかのリサイクル方法との違い
ボトルtoボトルの水平リサイクルのほか、ペットボトルは「カスケードリサイクル」という方法があります。
カスケードリサイクルとは、汚れなどで元の品質に戻らないと判断されたペットボトルを別の製品に作る方法です。
フレーク化されたあと、主にトレイや下敷きなどの文房具、衣類などのアイテムに作り替えられています。昔はこのカスケードリサイクルが一般的でしたが、技術の向上によりボトルtoボトルに力を入れています。
日本でのボトルtoボトルは何%?
日本でのボトルtoボトルのリサイクル割合は、2021年度で20.3%です。飲料メーカーもボトルtoボトルを進められるよう積極的に取り組んでおり、設備の増設などを実施しています。
このように年々増加傾向ではあるものの、ほかのリサイクル方法と比べて少ない現状と言えます。
これはボトルtoボトルができるペットボトルの割合を増やすことや、リサイクル施設の環境設備など、さまざまな課題があるためと言えます。
今ボトルtoボトルが注目される5つの理由
ボトルtoボトルは使用済みペットボトルを新たなペットボトルとして再利用する取り組みで、資源循環型社会の実現に重要なリサイクル方法です。
ほかにも、今の時代にボトルtoボトルを進めることが注目される理由として、5つのポイントを解説します。
資源循環の効率を高める
ボトルtoボトルは、使ったペットボトルを新たなペットボトルとして再利用するため、資源の無駄を減らせます。今世界では、使った資源をできるだけ循環させて、新たに資源を使う量をできるだけ減らそうという「循環型社会」の構築に力を入れています。
従来のリサイクルでは、使用済みペットボトルが繊維や容器などに再利用されるケースが一般的でした。ボトルtoボトルはペットボトルをそのままペットボトルにできるため、資源をムダにせずリサイクル効率をさらに向上させられる方法です。
資源の循環型社会を進めていく中で、生活に欠かせないペットボトルの再資源化が進むことは環境保全にも多くのメリットがあります。
二酸化炭素の排出を減らせる
新しいペットボトルを製造する際の二酸化炭素の排出量を減少できる点も、ボトルtoボトルのメリットです。ペットボトルは原料の石油をはじめ、精製や加工に多くのエネルギーが必要で、それに伴う二酸化炭素の排出量が問題視されています。
ボトルtoボトルでは、再生素材を使用することで新規製造の工程が減少し、二酸化炭素の排出量も削減できるのです。このため、ボトルtoボトルを進めることが、地球温暖化対策としても重要な取り組みと言えます。
新しい石油資源の使用量を減らせる
ボトルtoボトルは、ペットボトルの主原料であるプラスチックの石油の使用量を減らせます。石油は天然の資源であり、いつかはなくなってしまう有限な存在です。
ペットボトルのプラスチック製品にはじまり、石油を燃料として使う代わりに風や電気などほかのエネルギーを燃料にする取り組みは世界中で広がっています。ペットボトルをボトルtoボトルによるリサイクルを推進すると、新たな石油資源の使用量を減らせます。
限りある天然資源を守ることが、持続可能な社会を目指す上で欠かせません。ボトルtoボトルの割合がふえれば、石油依存からの脱却にもつながります。
ペットボトルリサイクルへの意識が高まる
ボトルtoボトルの普及は、消費者のペットボトルリサイクルに対する意識を高めるきっかけになります。
ペットボトルをリサイクルに出す行動自体は、一般化されていてもその後にペットボトルがどう変わるのか、知っている人は決して多くありません。
実際に店頭にボトルtoボトルによって、再製品化されたペットボトルによる製品を見かける機会が増えれば、世間にも存在が知られます。
自分がリサイクルに出したペットボトルが新しいボトルに生まれ変わるという、循環の流れを実感できればリサイクルしようと考える人の増加につながります。
海洋プラスチックごみの削減になる
ペットボトルをボトルtoボトルで再生させると、海洋プラスチックごみの削減につながります。
海洋プラスチックごみは、世界的な環境問題の一つで、海洋汚染や生態系への悪影響などにつながります。使用済みペットボトルをボトルtoボトルでリサイクルすると、不適切に廃棄されるプラスチックの量を減らすと同時に、海洋汚染を防ぐ効果が期待されます。
プラスチックごみの削減は、生態系の保護や観光地の景観維持にも直結するものです。水質改善は安全に人や動物が暮らせる環境づくりにも欠かせません。
ボトルtoボトルは、環境問題への具体的な解決策として、企業はもちろん消費者にとっても力を入れたい取り組みです。
ボトルtoボトルの課題
ボトルtoボトルは、使用済みペットボトルを新しいペットボトルにリサイクルする取り組みです。資源の循環型社会に貢献している一方、複数の課題があります。
使用済みペットボトルの質を高める
ボトルtoボトルを増やすには、使用済みペットボトルの質を高めることが重要です。この質とは衛生度であり、汚れたペットボトルや食品残渣が付着したものは、リサイクルに影響が出てしまいます。
ボトルtoボトルができない状態とみなされれば、別のリサイクル方法を選ぶ必要があります。また、ボトルtoボトルでリサイクルしたとしても、最終的な再生ボトルの品質に影響を及ぼします。
また、異なるプラスチック素材が混入している場合も、リサイクル効率が低下します。そのため、ペットボトルはペットボトルだけでリサイクルに出すなど、適切な分別とリサイクル意識を持つ人を増やすことが課題です。
リサイクルボックスに異物が入っている
リサイクルボックスにペットボトル以外の異物が入っている問題も、ボトルtoボトルの課題です。リサイクルボックスに食品ごみや紙、その他のプラスチックが混入すると、選別作業が必要になってしまいます。
場合によってはペットボトルをリサイクルできず、焼却処分が必要になるケースもあるのです。すると、リサイクル率が低下してしまい、石油の使用量の増加、CO2の排出も増える原因につながるのです。
これを防ぐためには、消費者に対する啓発活動や分別ルールの徹底が必要です。また、リサイクル施設での異物除去のための技術開発も課題と言えます。
リサイクルボックス以外に捨てられるペットボトルの量
リサイクルボックス以外に、捨てられるペットボトルの量も課題の一つです。多くのペットボトルが可燃ごみとして処分される場合、リサイクル可能なボトルが再資源化のルートに乗りません。
ボトルtoボトルの取り組みが十分に機能せず、ペットボトルが再利用されないままゴミとして処分される原因です。そのため、リサイクルボックスに捨てる意識を持つことや、自治体、企業がリサイクルボックスの設置場所を増やす工夫が求められています。
ペットボトルは燃やすごみではなく、資源ごみやリサイクルボックスを利用する習慣を身につける心がけも必要です。
再資源化までのコストがかかる
ボトルtoボトルは環境に優しい取り組みですが、再資源化プロセスにかかるコストも大きな課題です。使用済みペットボトルの収集、洗浄、選別、再生加工には、設備やエネルギーが欠かせません。
ボトルtoボトルは現状、費用がリサイクルボトルの製造コストを押し上げる要因にもなっているのです。費用面の問題を解決するためには、効率的なリサイクル技術の開発や、リサイクルボトルの市場価値を高める仕組みが求められます。
何よりもボトルtoボトルの普及には、技術の向上と消費者意識の改革が不可欠です。課題を克服できれば、ペットボトルリサイクルが一般化して持続可能な資源循環社会の実現に近づくのです。
ボトルtoボトルのためにできる普段の心がけ
ボトルtoボトルは、使用済みペットボトルを再利用して新しいボトルを作る循環型リサイクルの取り組みです。
リサイクルを成功させるためには、一人ひとりの日常的な心がけが重要です。そこで、普段から意識できるボトルtoボトルのための具体的な行動を紹介します。
キャップとラベルを外す
ペットボトルをリサイクルに出す際は、必ずキャップとラベルを外しましょう。キャップやラベルはペットボトル本体とは異なる素材で作られており、一緒にリサイクルされるとボトルtoボトルの妨げになります。
外したキャップは自治体や団体の回収ボックスに入れ、ラベルは燃えるゴミとして分別しましょう。慣れるまでは面倒だと感じてしまいますが、きちんとラベルとキャップを分けるひと手間が、リサイクル効率を高めて品質の良い再生ボトルを作る助けになります。
中をすすいできれいにする
ペットボトルの中を軽くすすいで、きれいな状態にしてからリサイクルに出しましょう。飲み残しや汚れが残ったままだとリサイクル工程が難しくなり、再生されたペットボトルの品質が低下する可能性があります。
水道水で簡単に行えるので、日常的に取り入れやすい習慣です。特に飲料以外の調味料やソースなどのペットボトルは、汚れが落ちにくくペットボトルを再資源化できない原因です。しっかりとすすいで、清潔にしたうえで資源ごみに出しましょう。
外出先ではリサイクルボックスに入れる
外出先で飲み終わったペットボトルは、リサイクルボックスに入れるよう心がけましょう。飲み終わったら、周囲に設置されているリサイクルボックスを探し、正しい分別を行いましょう。また、リサイクルボックスにペットボトル以外の異物を入れることも避けてください。
近くにペットボトル用のリサイクルボックスがなければ、自宅に持ち帰って資源ごみに出す工夫も大切です。つい面倒だからと手近な燃えるごみのゴミ箱に処分してしまう人もいますが、ペットボトルのリサイクル率を下げる原因になるため、一人ひとりがリサイクル意識を高めていきましょう。
まとめ
ボトルtoボトルは、プラスチックであるペットボトルをそのままペットボトルに再製品化する方法です。別名水平リサイクルとも呼ばれており、ペットボトルの再資源化として注目されています。
しかし、ボトルtoボトルはペットボトルの汚れや異物があると、品質が落ちたり再びペットボトル化できなかったりする課題があります。
一人ひとりの小さな心がけを日々積み重ねることで、ボトルtoボトルのリサイクルがスムーズに進み、資源の循環を支えましょう。環境に優しい行動を意識すれば、持続可能な社会の実現になります。