リチウムイオン電池は、その軽さと出力の高さから小型家電に多く使われています。
しかし、正しく処分しないと爆発や火災のリスクがあるなど、危険性についても知っておくべきです。本記事では、リチウムイオン電池が使われているものと、正しい処分方法を解説します。
目次
リチウムイオン電池とは?

リチウムイオン電池は、充電してくり返し使える電池です。軽さと出力の高さを両立しやすく、スマートフォン、イヤホン、掃除機など、持ち運ぶ機器や充電式の家電に広く使われています。
以下で、乾電池との違いと、見分ける際に確認したい表示を順に解説します。
通常の電池との違い
リチウムイオン電池は、使い切りの乾電池とは違い、充電して何度も使える点が大きな違いです。乾電池は一度使い切ると交換が前提ですが、リチウムイオン電池は充電と放電をくり返せるため、日常的に使う機器と相性が良い電池です。
さらに、同じ大きさでも多くの電気をためやすく、機器を軽くしやすい点も強みです。
表示で見分けるコツ
リチウムイオン電池かどうかを見分けるときは、本体や電池パックの表示を確認すると判断しやすくなります。代表的な表記は「Li-ion」です。製品によっては「LIB」と書かれている場合もあり、リチウムポリマー電池はリチウムイオン電池の一種として扱われます。
また、三つの矢印でできたリサイクルマークも、見分けるポイントです。
古い製品ではマークが付いていない場合もあるため、英字表記と製品の説明書、メーカー情報をセットで確認すると見分けやすくなります。
リチウムイオン電池の処分で事故につながるミス3選

リチウムイオン電池の処分では、家庭での小さな判断ミスが火災事故につながります。便利である一方、リチウムイオン電池の普及とともに、ごみ収集や処理施設でのトラブルも増えているため、誤った廃棄方法に注意です。
以下で、事故につながりやすい代表的なミスを順に解説します。
可燃ごみ・不燃ごみに混ぜる
自治体が定める分別方法を守らずに排出すると、収集車や処理施設で他のごみと一緒に扱われ、事故の原因になります。たとえば電動アシスト自転車のバッテリーパックが本来と異なる区分で捨てられ、ごみ収集車内で押しつぶされて火災に至った、ごみ収集作業中にバッテリーが爆発して火災になったなどのケースもあります。
リチウムイオン電池は見た目が小さくても内部に多くのエネルギーをためています。そのため、イヤホンやモバイルバッテリーのような小型製品でも、普通ごみに紛れ込むと危険です。
分別ルールは自治体ごとに異なるため、自己判断で不要物に混ぜず、住んでいる地域の回収方法を確認する必要があります。
破砕・圧縮の工程での発火事故
ごみ処理の工程では、破砕や圧縮によって電池が傷つき、内部ショートから発火することがあります。家庭では問題が起きていなくても、処理施設に運ばれたあとで事故になる点が厄介です。
これは、回収作業時の衝撃や揺れなどが、電池の損傷と発火の引き金になるケースがあるためです。だからこそ、各家庭での分別ミスが、そのまま現場の危険につながると理解しておくことがとても大切なのです。
回収ボックス投入前の絶縁不足
回収ボックスに入れる前に端子を絶縁していないと、電池同士や金属と触れた際にショートするおそれがあります。
電極が露出しているリチウム蓄電池は絶縁テープなどで、絶縁処理したうえでの処分が推奨されています。
ただし、JBRCは電池全体を過剰にテープで覆うと種類やメーカー名が確認できず、リサイクルに支障が出る場合もあるため端子部分を適切に覆うことが、安全性と回収のしやすさの両立につながります。
リチウムイオン電池の正しい処分方法

リチウムイオン電池は、普通ごみとして出さず、自治体や回収窓口の案内に沿って処分することが基本です。
以下では、家庭で実践しやすい処分方法を順に解説します。
自治体の回収指示に従う
もっとも基本になるのは、住んでいる自治体の回収指示に従うことです。リチウムイオン電池の出し方は全国で一律ではなく、拠点回収、資源回収、有害ごみ扱いなど、地域によって区分が異なります。そのため、ほかの地域の出し方を参考に自己判断すると、分別ミスにつながります。
環境省は、市区町村が家庭から出るすべてのリチウム蓄電池や、リチウム蓄電池を使用した製品の回収体制を整える必要があると示しています。
取り外せる電池だけでなく、製品に内蔵されたままのものも対象になるため、無理に分解せず、自治体の案内で排出区分を確認する流れが安全です。
電気屋や携帯電話ショップによる回収
小型のリチウムイオン電池は、家電量販店やホームセンターなどの回収拠点を利用できる場合があります。
ただし、回収対象は電池の種類が明確であり、破損や水濡れ、膨張などの異常がないものです。回収前に対象条件を確認しておく必要があります。
スマートフォンや電池パックは、携帯電話ショップで回収されているケースもあります。ソフトバンクは、携帯電話機本体や電池パック、充電器類を新旧機種を問わず回収すると案内しています。
auも不要になったスマートフォンをau Styleやauショップなど、通信キャリアの店舗で回収しているため、むやみに処分せず携帯ショップに相談しましょう。
ただし、スマートフォン関連は回収先が見つけやすい一方で、モバイルバッテリーなどは対象外となる場合があるため、製品ごとの条件確認が必要です。
実はこんなところにも!リチウムイオン電池が使われているもの一覧

リチウムイオン電池は、スマートフォンやモバイルバッテリーだけに使われているわけではありません。軽くて繰り返し充電できるため、小型の身の回り品から大容量の蓄電機器、仕事で使う端末まで幅広く採用されています。
電池が入っていると気づきにくい製品も多いため、処分時に見落とさないことが大切です。
・ワイヤレスイヤホン・スマートウォッチ
・ハンディ掃除機・電動歯ブラシ・シェーバー・カメラなど家電
・充電式おもちゃ・ラジコン
・電動アシスト自転車バッテリー・電動キックボード
・ポータブル電源・充電式ラジオなどの防災グッズ
・無線機・ハンディ端末・バーコードリーダーなどの業務用機器
以下で、意外と見落としやすい製品を具体的に解説します。
ワイヤレスイヤホン・スマートウォッチ
ワイヤレスイヤホンやスマートウォッチには、小型のリチウムイオン電池やリチウムイオンポリマー電池が使われている製品が多くあります。
たとえばイヤホンは本体だけでなく充電ケースにも充電池を内蔵している例があり、スマートウォッチも内蔵バッテリーとしてリチウムイオン系電池を採用しています。小さい機器ほど普通ごみに紛れ込みやすいため、電池製品として意識しておく必要があります。
ハンディ掃除機・電動歯ブラシ・シェーバー・カメラなど家電
家電の中でも、充電して使う製品にはリチウムイオン電池が広く使われています。ハンディ掃除機ではリチウムイオン二次電池を搭載した製品があり、電動歯ブラシでも Li-ion 電池を採用した機種が確認できます。
シェーバーもリチウムイオン電池を使う製品があり、カメラ分野では電池工業会がリチウムイオン二次電池の主な用途としてデジタルカメラやビデオカメラを挙げています。毎日使う家電は家電本体として捨てそうになりやすいため、充電式かどうかの確認が欠かせません。
充電式おもちゃ・ラジコン
おもちゃやラジコンにも、リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池が使われています。
また、ラジコン分野ではリチウムポリマー電池が軽量、高出力、大容量という特性を持つため使われているケースもあります。遊ばなくなったあとに長くしまい込まれやすい製品なので、片づけの際には電池内蔵かどうかを確認しましょう。
電動アシスト自転車バッテリー・電動キックボード
移動に使う機器にも、リチウムイオン電池は身近に使われています。
電動キックボードについても、メーカーがリチウムイオンバッテリーの採用を案内しています。これらは容量が大きく、誤った保管や廃棄による爆発や火災の影響も大きいため、小型機器以上に回収ルールの確認が重要です。
ポータブル電源・充電式ラジオなどの防災グッズ
防災用品にも、リチウムイオン電池は広く使われています。ポータブル電源ではリチウムイオン系電池やリン酸鉄リチウムイオン電池を採用した製品が流通しており、充電式ラジオでもリチウムイオンポリマー充電池を内蔵する製品があります。非常時に使う備えは保管期間が長くなりやすいため、存在を忘れて処分時に見落とすことが少なくありません。
定期的に中身を確認し、不要になった場合は通常の雑貨と同じように捨てないことが大切です。
無線機・ハンディ端末・バーコードリーダーなどの業務用機器
業務の現場で使う携帯型の機器にも、リチウムイオン電池は多く採用されています。無線機ではリチウムイオン電池パックが用意されており、ハンディ端末でもメインバッテリーとしてリチウムイオンバッテリーを搭載した製品があります。
家庭用品よりも目にする機会が少ない一方で、倉庫、物流、店舗などでは日常的に使われているため、事業所での廃棄ルールも含めて管理が必要です。
リチウムイオン電池を安全に処分する4つのルール

リチウムイオン電池は、回収先が正しくても、持ち出し前の扱い方を誤ると発熱や発火の原因になります。
安全に処分するには、端子の保護、破損防止、まとめ方、一時保管の方法まで含めて意識することが重要です。
以下で、家庭で実践しやすい4つのルールを順に解説します。
端子を絶縁する
端子が露出したままの電池は、ほかの金属や電池と触れたときにショートしやすくなります。そのため、処分前にはプラス極とマイナス極、または金属端子部を絶縁テープで覆うことが基本です。
一般社団法人JBRCは、金属端子部を絶縁テープで保護するよう案内しており、環境省も電極が露出している電池は絶縁テープなどで処理したうえで保管するよう示しています。
作業するときは、電池全体をぐるぐる巻きにするのではなく、端子部を適切に覆う形が適しています。JBRCは、電池全体をテープで覆うと種類やメーカー名が確認しにくくなり、リサイクルに支障が出る場合があるためあくまで端子を覆うことを心掛けてください。また、テープは挟み込むだけでは外れやすいため、端子部に巻き付ける形で固定しましょう。
濡らさない・潰さない・分解しない
水に濡らすこと、強い力を加えること、分解することは、どれも電池の安全性を下げます。外装が傷つくと内部で短絡が起こり、発熱や発火につながるためです。
取り外しが簡単にできないリチウムイオン電池使用製品については、無理に取り外そうとすると発煙や発火の危険があるため、分解せずそのまま排出するよう周知しています。
内蔵型の電池は、自宅で工具を使って取り出そうとしないことが大切です。水濡れや落下による変形がある製品は、通常の回収ルートにそのまま入れず、自治体や販売店の案内を確認しましょう。
複数個をまとめて袋に入れない
複数の電池を一つの袋にまとめて入れると、中でぶつかって破損しやすくなります。端子同士が触れればショートの危険も高まるため、まとめ方にも注意が必要です。
持ち運ぶときは、一本ずつ端子を絶縁したうえで、接触しにくい状態に分けて保管する方法が安全です。回収ボックスへ入れる直前まで、不用意にほかのものと一緒に入れて携帯せず、少量でも個別に管理する意識が事故防止につながります。
一時保管の注意
すぐに処分できない場合は、保管場所にも気を配る必要があります。高温、多湿、可燃物の近くは避け、涼しく乾いた場所で保管することが基本です。回収したリチウムイオン電池や電池使用製品を、雨風の影響を受けない屋内に保管するよう示しています。さらに、膨張や変形がある電池は耐火性の容器で保管することも案内しています。
自宅で一時保管する場合も、紙類や布類の近くを避けて置くと安心です。直射日光が当たる場所や車内のように高温になりやすい環境は避け、子どもの手が届かない場所で管理してください。
まとめ
リチウムイオン電池は、スマートフォンだけでなく、ワイヤレスイヤホン、掃除機、防災用品、業務用端末など、身近な製品の幅広い場面で使われています。
軽くて高出力という利便性がある一方で、可燃ごみや不燃ごみに混ぜる、端子を絶縁しないまま出すといった処分ミスが、収集車や処理施設での火災事故につながります。
安全な処分を意識することが、スムーズなリサイクル、そして人々の暮らしの安全にも役立っていくのです。
