正月飾りを片付ける時期になると、「いつ外せばよいか」「普通ごみとして捨ててもよいか」と迷う人が多いです。
この記事では、正月飾りを片付ける時期と、処分する理由に焦点を当てて整理します。
神様にかかわる飾りだからこそ、捨て方に不安がないよう処分方法を知り、落ち着いて対応しましょう。
正月飾りはいつ処分するべき?

松の内は「年神様が家にとどまる期間」とされ、関東や九州では1月7日、関西では1月15日までとする地域が多いです。
外すタイミングとしては松の内が終わる日をひと区切りとし、保管しておき、地域のどんど焼きに合わせて神社や自治体の会場へ持ち込む流れが一般的です。
近隣にどんど焼きの会場がない、日程の都合がつかない場合は、自宅で処分するしかない場合もあります。
その場合でも、松の内が終わったあとから1月15日頃までを目安とし、感謝の気持ちを込めてお清めを行い、自治体の分別ルールに沿ってゴミとして出す形が推奨されています。
処分する時期は地域による違いや家庭の事情もあるため、絶対的な共通ルールがあるわけではありません。
正月飾りを処分する3つの理由

正月飾りを毎年処分する背景には、縁起や信仰だけではなく、衛生面も関係しています。
次の3つの理由を解説するため、正月飾りは毎年新しく準備し、使用後は適切に処分することの意味を理解しましょう。
毎年新しいものを迎えて縁起を保つ
正月飾りを毎年新しく用意する大きな理由は、年神様を迎える飾りとしての清らかさを保つためです。
門松やしめ飾り、鏡餅は、年神様を家に招き入れ、一年の無病息災や豊作を祈るための飾りです。神具として「新しい年には新しい飾りで神様を迎える」という発想から飾られてきました。
古い飾りをそのまま使い回すより、新年ごとに新調した方が気持ちを切り替えやすく、家族で1年のスタートを意識しやすい点も理由に含まれます。
一方で、造花や木製のオブジェなど、インテリア性が強い飾りを数年単位で再利用する家庭も増えています。
外に出すしめ飾りや門松は神様を迎える印として新調し、室内の飾りは大切に保管して使い回すなど、役割ごとに線引きをする例も見られます。
こうした考え方から、少なくとも玄関まわりや屋外の正月飾りは1年ごとに入れ替え、新しい年神様を迎える準備として処分する家庭も増えています。
依代として役割が終わるため
正月飾りを処分する2つ目の理由は、飾りが年神様の「依代」としての役割を終えるためです。
「依代」とは、神様が一時的に宿る対象を指し、松やしめ縄などに神様がとどまると考えられてきました。松の内は、年神様が家に滞在している期間とされています。
多くの地域では、松の内が終わると飾りを外し、どんど焼きやお焚き上げで飾りを燃やし、立ちのぼる煙とともに年神様を天へ見送る行事が行われます。
汚れや湿気を吸っており再利用に不向き
正月飾りの多くが天然素材であり、汚れや湿気を吸いやすく、翌年の再利用に向いていません。
しめ飾りや門松に使われる藁や紙、竹などは、屋外に出している間にホコリや排気ガスが付着し、雨や雪で水分も多く含みやすい素材です。
家庭の押入れやクローゼットでは、温度や湿度の管理が難しいことが多く、ダニやカビ、虫食い被害が発生しやすく、翌年出したときに変色や異臭が出てしまうリスクが高まります。
インテリアとして室内だけで使っている飾りであれば、湿気対策を行いながら数年使い続けるケースもあります。
正月飾りの正しい処分方法4選

正月飾りを片付けるときは、単にゴミとして捨てるのではなく、「神様に関わる飾りを納める」という意識で処分方法を選ぶことが大切です。
主な処分方法を4つご紹介するため、好みや環境に合わせて選びましょう。
1. 神社の「どんど焼き」に出す(最も一般的)
正月飾りの処分方法として最も広く行われているのが、神社や地域で開催される「どんど焼き」に出すやり方です。
どんど焼きは1月15日前後の小正月に行われる火祭り行事で、門松やしめ飾り、書き初めなどを一か所に集めてお焚き上げします。
煙とともに年神様を見送り、1年の無病息災を祈る意味合いがあります。
多くの神社では、あらかじめどんど焼きの日程や受付時間、持ち込める物の種類を案内しています。「紙や藁などの天然素材の飾りは受け入れるが、プラスチック製品やガラス、金属などは不可」との条件が珍しくありません。
なお、どんど焼きは誰でも参加できる地域行事として開かれることが一般的ですが、神社によっては氏子区域の家庭からの持ち込みを優先する場合もあります。
そのため、自宅から行きやすい神社や自治体の広報誌、公式サイトで、開催の有無や受付条件を事前に確認しておくと安心です。
2. 自宅でお清めして可燃ごみとして処分する
近くでどんど焼きが開かれない場合や、日程が合わない場合は、自宅でお清めをしてから可燃ごみとして処分する方法が現実的です。
神社に持ち込めなくても、感謝の気持ちを込めて丁寧に扱えば、失礼に当たるわけではありません。お清めに使う塩は、台所塩や粗塩で問題ありません。
3. 神社や寺院の「お焚き上げサービス」を利用する
どんど焼きの日程や会場が合わない場合や、お守りや人形など他のものもまとめて供養したい場合は、神社や寺院が行っている「お焚き上げサービス」を利用する方法があります。
このサービスでは、正月飾りを含め、神棚のお札やお守り、写真やぬいぐるみなどを対象に、お焚き上げや供養を行ってくれます。
受付方法は、社務所や寺務所へ直接持ち込む形式のほか、宅配便で送る形式を用意している寺社もあります。
箱の大きさごとに供養料を設定している例や、正月の一定期間のみ飾りの持ち込みを受け付ける例など、運用は寺社によってさまざまです。
多くの場合、供養料として初穂料やお布施が必要になります。金額の目安は数千円から一万円前後に設定されることが多く、公式サイトや案内チラシに記載されていることが一般的です。
4. リサイクル資源として分別して処分する
正月飾りの役割を終えた後、環境面を意識して処分したい場合は、リサイクル資源として分別する方法も検討できます。
特に近年の鏡餅は、プラスチック容器入りの商品が増えており、食べ終わった後の容器や外箱を資源ごみとして出す家庭が多くなっています。
例えば、鏡餅のセットであれば、中身の餅と、外側のプラスチックケース、紙の外箱、飾りの水引やフィルムといった具合に、いくつかの素材に分けられます。
このうち、プラスチックケースは「プラスチック容器包装」として、紙箱は「紙・段ボール」として、地域の資源回収や古紙回収に出せる場合があります。
ただし、門松やしめ飾りなど、神事としての意味を持つ部分については、先にお清めを行ったうえで、可燃ごみとして出す方法やどんど焼きに出す方法がおすすめです。
正月飾りの処分方法の選び方のポイント

正月飾りの処分方法は一つではなく、どんど焼きやお焚き上げ、自宅でのお清め処分、リサイクル分別など、いくつかの選択肢があります。
その中から自分の家庭に合った方法を決めるうえで大切になるのが、「縁起をどこまで重視するか」と「手軽さをどこまで優先するか」という視点です。2つの選び方のポイントを見ていきましょう。
縁起を重視するか・手軽さを重視するか
処分方法を選ぶうえで最初の分かれ目になるのが、「儀礼としての丁寧さ」と「日常生活のしやすさ」のどちらを優先するかという点です。
年神様への感謝や縁起を何より大事にしたい場合は、どんど焼きや神社・寺院のお焚き上げを中心に考え、忙しさや移動の負担を減らしたい場合は、自宅でのお清め処分を組み合わせる形がおすすめです。
縁起を優先する場合、地域のどんど焼きに参加する方法があります。
しめ縄や門松などをまとめて焚き上げ、煙とともに年神様を見送る行事で、火のそばで一年の無病息災を祈る意味があります。神社によっては、正月飾り専用の焼納祭やお焚き上げの日を設けているところもあります。
素材が多い飾りは分別が必要
次に重要になるのが、正月飾りに使われている素材の種類です。
しめ飾りや門松は、藁や紙などの自然素材だけでなく、プラスチックの飾り、金属のワイヤー、発泡スチロールなど、複数の素材が組み合わさっているものが増えています。
多くの神社や自治体は、「縄や紙など燃える部分のみ持ち込み可」「プラスチックや金具は事前に外す」といった基準を示しています。金属や硬いプラスチックは燃え残りや有害ガスの原因になり、安全な焚き上げの妨げになるためです。
また、自宅で可燃ごみに出す場合も、自治体が定める分別ルールに従いましょう。
正月飾りを処分する時の注意点

正月飾りは、神事にかかわる意味を持つだけでなく、火やごみ処理とも関係するため、処分の際にはいくつかの注意点があります。
塩や半紙で丁寧に清めること、素材ごとに分別すること、お焚き上げが可能な神社かどうかを確認することなどを意識しておくと、安心して片付けを進められます。
ここでは、特に押さえておきたいポイントとして次の3つを取り上げます。
可燃ごみに出す前に塩や半紙で清める
自宅から可燃ごみとして出す場合でも、正月飾りを他の家庭ごみと同じように扱うことに抵抗を感じる人は少なくありません。
そのため多くの神社や解説記事では、塩と白い紙を使って簡単なお清めをしてから処分する方法が案内されています。
- まず半紙や白い紙、白い布などを広げる
- 広げた紙の上に正月飾りを置く
- 飾りに向かって軽く一礼し感謝の気持ちを伝えたうえで塩をひとつまみ取る
- 塩を右・左・中央の順に振りかける
- 紙や布で全体を丁寧に包み、ほかのごみとは別の袋に入れて可燃ごみとして出す
塩は粗塩でも食卓塩でも差し支えなく、使う量も控えめで問題ありません。
重要なのは、正月飾りを「役目を終えた神聖なもの」として扱い、感謝と敬意を込めて送り出す姿勢です。このひと手間を加えることで、可燃ごみに出す場合でも心理的な抵抗が和らぎやすくなります。
なお、自宅の庭などで飾りを燃やす行為は、原則として野焼きに該当し、法律や条例で禁止されています。
火災や煙のトラブルにもつながるため、自宅の敷地で燃やして処分することは控えましょう。
金具やプラスチック部分は分別する
金具やプラスチックが付いたままの正月飾りは、そのままどんど焼きに出すことも、可燃ごみに入れることも適切ではありません。
金属は燃え残りの原因になり、プラスチックは燃焼時に有害ガスを発生させるおそれがあるため、神社や自治体は「できる限り取り外してから出す」ことを求めています。
具体的には、しめ飾りのワイヤーや針金、門松の固定金具、プラスチック製の花や飾りパーツなどを、処分前に取り外しましょう。
縄や紙などの自然素材は可燃ごみやどんど焼きへ、金属部分は不燃ごみや金属類へ、プラスチック部分はプラスチックごみや製品プラとして出すなど、自治体の区分に合わせて整理する流れです。
また、どんど焼き会場では「生もの」「ガラス」「電飾付きの飾り」などを受け付けていないケースもあります。
橙やミカンなどの果物は燃え残りやすく、ガラスや電飾は安全面の問題から持ち込み不可になりやすいため、事前に案内を確認しましょう。
お焚き上げは対応している神社に限りがある
正月飾りをお焚き上げしたい場合でも、どの神社でも必ず受け付けているわけではありません。
実施しているか、どの正月飾りに対応しているかの範囲は、神社ごとの判断に委ねられています。
例えば、ある神社では「自社で頒布したお札やお守り、縁起物、正月飾りのみ受付」とし、他社の授与品や日用品、人形類は対象外としている例があります。
別の神社では、正月飾りのうち門松など大型のものは受け取らず、しめ縄や小さな輪飾りのみを対象にするなど、対応範囲に差があります。
また、お焚き上げの日程が限定されている場合も少なくありません。元日から三が日、あるいは1月14日・15日のどんど焼きの日のみ境内でお焚き上げを行い、それ以外の日は古札納所で預かるだけという運用もあります。預けた飾りは、後日まとめて焼納祭などでお焚き上げされる形です。
まとめ
正月飾りの処分は、「いつ・どうやって片付けるか」だけでなく、「どのような気持ちで送り出すか」も含めて考えることが大切です。
松の内が終わった時期を目安に、どんど焼きやお焚き上げ、自宅でのお清め処分、素材ごとのリサイクルといった方法の中から、自分の家庭に合ったやり方で処分しましょう。
