照明に欠かせない蛍光灯は、2027年で製造が中止になってしまうことを知っていますか?
蛍光灯からLEDに切り替えれば、電気代の節約や環境配慮につながります。
本記事では蛍光灯が製造禁止になる背景や、家庭、企業で異なる廃棄方法の例を解説します。今蛍光灯を使っている方や、買い替えを検討している方も参考にしてください。
目次
蛍光灯の製造と輸出入が2027年で禁止に!
蛍光灯の製造と輸出入が、2027年末で規制され、計画的なLED照明への切り替えが推奨されています。
これは水俣条約締結国会議の決定によるもので、水銀などの有害物質を含む蛍光灯の製造を全面的に禁止し、より安全なLED照明に世界的に切り替えていこうとする取り組みです。
家庭や企業で2027年までに、LED照明に切り替える義務はないものの、環境配慮や電気代節約のためにも早めの取り替えがおすすめです。
- 水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」で、全ての一般照明用蛍光ランプ(蛍光灯)について、製造と輸出入の禁止が2027年末までと決定しました。
- 禁止となるのは製造と輸出入です。流通在庫の販売や購入、使用することは禁止されません。
- 一般照明用高圧水銀ランプについては既に(2020年末まで)、製造と輸出入が禁止になっています。
蛍光灯を処分してLED電灯に切り替えよう
製造・輸出入が禁止になる、一般照明用の蛍光灯には次の種類があります。
- 電球型蛍光ランプ
- コンパクト型蛍光ランプ
- 直管蛍光ランプ
- 非直管蛍光ランプ
- 高圧水銀ランプ(すでに禁止済み)
水銀にまつわる水俣条約は、水銀の一次採掘から製造までの過程において、空気中や水、土壌などに放出されて健康や環境に与える悪影響を低減するためのものです。
日本でも2013年10月に、熊本県で外交会議が開かれ「水銀に関する水俣条約」の採択と署名が行われています。
2020年まですでに規約規制で、製造が禁止されている蛍光灯はいくつかあったものの、全面的に禁止となるのは2027年末からです。
なお、2025年5月現在蛍光灯を使用すること自体に問題はありません。しかし今後条約が変わるなど、蛍光灯の取り扱いが変更になるリスクもあるため、早めの交換がおすすめです。
蛍光灯の処分方法5選
蛍光灯の処分方法は、一般廃棄物の場合複数存在します。
処分方法によってかかる費用、処分条件が異なるため、次の中から適したものを選びましょう。
有害ごみとして処分する
蛍光灯は水銀を含んでいるため、基本的には有害ごみとして処分されます。
ただし自治体によって、ごみの分別は異なるため住んでいる自治体の公式サイトで分別方法を調べるか、配布される「ごみの手引き」で確認しましょう。
不適切な廃棄をしてしまうと、水銀などの有害物質による環境汚染の原因にもつながります。
むやみに割るなど自己判断せず、有害物質が排出されないように割れないようていねいに扱いましょう。
粗大ごみとして処分する
粗大ごみとして処分することを推奨している自治体もあります。特に電球ではなく、大型の蛍光灯は自治体指定のごみ袋に入らないものもあります。
基本的に粗大ごみは回収場所や、回収日が指定されています。急ぎで処分したい場合は回収がいつか調べたうえで、間に合うか判断することが重要です。
自治体による回収が間に合わなければ、不用品回収業者の活用や、直接粗大ごみ回収施設に持っていく方法などがおすすめです。
蛍光灯用の回収ボックスを利用する
蛍光灯用の回収ボックスは、家電量販店やリサイクル、自治体の公共施設などに設置されています。
蛍光灯を安全に処分できるうえ、自分の好きなタイミングで捨てられるため、自治体の回収だと間に合わない場合にも便利です。
ただし回収している蛍光灯の種類が対象になっているか、事前に調べておきましょう。
蛍光灯のサイズによっては回収ボックスにおさまらない可能性もあります。
そして複数の蛍光灯を処分したい場合にも、回収ボックスに入るのかサイズに注意が必要です。
粗大ごみ回収施設に持っていく
蛍光灯の粗大ごみ回収施設に持っていき、その場で処分する方法もあります。
蛍光灯の回収場所は自治体によって異なるため、住んでいる自治体のホームページを見てみましょう。
ほかにも市役所や粗大ごみ回収施設、産業廃棄物センターで、蛍光灯の回収方法を案内しているケースもあります。
持ち込もうとしている回収施設にも事前に問い合わせておくと、持ち込みを拒否されるなどのトラブル防止につながります。
また、基本的には無料回収ですが、料金が発生する可能性もあるため費用も調べておくと安心です。
不用品回収業者に依頼する
不用品回収業者なら、蛍光灯だけでなく不用品をまとめて回収してもらえるメリットがあります。
ただし、粗大ごみや有害ごみのように無料で処分できる方法とは違い、回収費用が発生します。
収集費用や回収日は業者によって違うため、都合の良い日を事前に確認したうえで予約をとりましょう。
法人が排出した蛍光灯は産業廃棄物
法人が不要になった蛍光灯を処分する場合は、産業廃棄物の扱いになります。
これは以下のように、水銀を含んだ物が対象となる廃棄物です。
- ガラスくず
- コンクリートくず
- 陶磁器くず(蛍光物質が塗布されたガラス管)
- 「金属くず」(両端の電極)
- 「廃プラスチック類」(ソケット)の混合物
事業者は不用品の「排出責任が伴う」立場です。特に蛍光灯は中に水銀が含まれている危険物で、むやみに処分することは環境破壊につながってしまいます。
そのため、事業者が排出する蛍光灯は「水銀使用製品産業廃棄物」の扱いになります。
法人の場合は自治体の危険ゴミとして出すのではなく、専門の業者に回収や廃棄物処理を依頼しましょう。
蛍光灯を産業廃棄物として処分する手順
蛍光灯を産業廃棄物として処分するには、主に分別や業者への依頼、そして最終的なリサイクルまでの過程があります。
それぞれの手順の詳細を解説するため、大まかな流れを把握しておきましょう。
1.蛍光灯を分別・保管する
まずは蛍光灯を割らないように取り外し、保管しておきましょう。
粉砕すると水銀流出のリスクがあります。高い位置にあったり、数が多かったりと管理が困難であれば、専門業者に依頼するなどして安全対策を徹底してください。
また、取り外した蛍光灯は保管時に割れないように、段ボールに入れたり緩衝材を遣ったりしてください。
蛍光灯は危険物のため、破壊しないようここに保管していると周知することも大切です。
2.産業廃棄物収集業者に運搬を依頼する
蛍光灯を処理する場合、法人は処理業者に回収委託しましょう。
その際に、各都道府県知事からの許可を受けた業者を選ぶことも重要です。さらに「水銀使用製品産業廃棄物を含む」と記載している業者である必要もあります。
許可を受けていない業者の場合、不法投棄の扱いになり依頼した法人も罰則の対象になることも考えられます。
3.一時保管する(積替)
産業廃棄物は運搬だけでなく、一時保管場所となる場所で内容表示する義務が廃棄物処理法で定められています。
この内容表示とは、わかりやすく看板や掲示板にて産業廃棄物がここにあると示す目的があり、公衆衛生や安全性を保つために必要です。
法人は蛍光灯を含む産業廃棄物が回収されるまで、安全に保管する必要があるのです。
なお、蛍光灯の点灯に必要な安定器と呼ばれるパーツには、PCB(ポリ塩化ビフェニル)という絶縁体に使われる素材が使用されています。
現在は毒性から製造・輸入が禁止されており、古い蛍光灯の場合は水銀だけでなくPCBが使われているリスクもあるため製造年や型式を見たうえで、有無を見ておくと安心です。
4.中間処理・リサイクルする
蛍光灯を産業廃棄物として処分する際は、業者の回収後に中間処理が行われます。
この中間処理とは、蛍光灯を粉砕し、素材ごとに分類する工程です。
アルミ製品の原料になる口金、ガラス、蛍光粉(水銀を回収)などに分類し、その後にリサイクルされます。
回収した水銀は現状ほとんどがリサイクルされており、環境汚染につながらないよう配慮されているのです。
5.最終処分
リサイクルされなかった蛍光灯のパーツは、内陸埋立か海面埋立の2種類で最終処分されます。
大きなお椀のように穴を堀った専門の処分場にて、水銀を埋め立てて環境汚染を予防する目的があります。
日本は国土が狭いため内陸の埋立地だけでなく、海にも最終処分地を作っています。最終処分地はいずれ処理できる量に限りがあり、埋め立てを減らしてリサイクル率を高める活動が推進されているのです。
廃棄された蛍光灯のリサイクル例
廃棄された蛍光灯は、一部リサイクルされています。
水銀などの有害物質も使われている一方、正しく分解、リサイクルすれば新しい資源に生まれ変われるのです。
具体的に、蛍光灯はパーツごとに分類され主にガラス、アルミ、プラスチック、鉄、水銀などが再資源化されます。
水銀:水銀製品
蛍光粉:覆土材・再生砂など
アルミ・プラスチック:金属製品
ガラス:断熱材・ガラスウール
新しく社会に役立てられるため、蛍光灯はむやみに処分せず、きちんと再利用化される方法で手放しましょう。
蛍光灯の処理を業務委託する際の注意点
蛍光を産業廃棄物として処分するには「水銀使用製品産業廃棄物」、「水銀含有ばいじん等」に関する措置が必要です。
業の許可証 | 委託する廃棄物の種類に「水銀使用製品産業非秋物」 または「水銀含有ばいじん等」が含まれていることを明記する |
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委託契約書 | 委託する廃棄物の種類に「水銀使用製品産業非秋物」 または「水銀含有ばいじん等」が含まれていることを明記する |
マニフェスト | 産業廃棄物の種類欄に「水銀使用製品産業廃棄物」 又は「水銀含有ばいじん等」が含まれること、また、その数量を記載すること。 |
廃棄物保管場所の掲示板 | 産業廃棄物の種類欄に「水銀使用製品産業廃棄物」 又は「水銀含有ばいじん等」が含まれることを明記すること。 |
帳簿 | 「水銀使用製品産業廃棄物」 または「水銀含有ばいじん等」に係るものであること。 |
上記のように、水銀を含んだ産業廃棄物を処理できる専門業者であることや、起業としてマニフェストの製作、帳簿をつけるなどさまざまな条件を満たす必要があります。
そのため全て自社で行う前に、管理や処分を全て業務委託する必要があります。
収集運搬・処分許可証があるか
業務委託する場合、水銀に関する収集運搬・処分許可証がある業者を選びましょう。無許可業者へ委託すると排出者も「無許可処理」で、罰則を受ける恐れがあります。
収集と処分を別会社に分ける場合は双方の許可証を確認し、漏れのないことを確かめてください。
また、監査に備えて電子契約でPDFコピーを保管しておくと監査にもスムーズです。
契約書・マニフェスト作成に対応しているか
委託契約書とマニフェスト(産業廃棄物管理票)は、廃棄物を適正に処理していると証明するための書類です。
特に蛍光灯の場合、契約書とマニフェストの品目欄に「水銀使用製品産業廃棄物」を明記する必要があります。紙マニフェストは記入項目が多く管理負担が重いため、電子マニフェストに対応した業者を選べば入力ミスや紛失リスク軽減につながります。
事前の見積もりを取得する
蛍光灯の処分費は本数・長さ・梱包状態・搬出経路・運搬距離などで大きく変動します。
収集運搬費・処分費・梱包材費・マニフェスト手数料などが明確に記載された、見積もりを事前に取得しましょう。また、複数社の産業廃棄物処理業者を比較すると、おおよその相場を把握できます。
他にも契約までの現地調査、見積もりなどの諸経費がかかるかなども、業者から見積もりを出してもらうと後のトラブル予防になります。
まとめ
蛍光灯は2027年で製造が禁止され、普段の生活で目にする機会は減っていきます。
LEDに変更すれば環境にも優しく、長期使用ができるため交換の負担や水銀などの危険物の流出のリスクもなくせるなど、多くのメリットがあるのです。
だからこそ、蛍光灯は早めに処分して新しいLEDへの交換を検討しましょう。ただし蛍光灯の処分方法は、家庭ごみと産業廃棄物で大きな違いがあるため、必ず確認のうえ正しい手順での処分が重要です。