お役立ちコラム
2024.12.25

分別したプラスチックは何になる?

分別したプラスチックは何になる?

プラスチックは、飲み物のボトルや食品用トレー、工業用ビニールなど私たちの生活に欠かせない多くの物に使われています。
しかし、プラスチックは製造時に石油を使うため、消費を抑えてリサイクルすることが求められています。また、プラスチックは種類が多く、リサイクル方法も複数あります。
本記事ではプラスチックはリサイクルによって、どのような製品になるのか、再製品化の例や種類ごとの特徴を解説します。

分別したプラスチックは何になる?

分別したプラスチックは何になる?

プラスチックの種類によって、再製品化される物は異なります。
・ペットボトルなど飲料用容器
・調味料用ボトル
・酒類用ボトル
・工業用ビニール
・衣類

このように同じプラスチックでも、再製品化の種類は幅広いです。
そのままプラスチックに再利用できる物もあれば、それ以外の物に作り替える種類があり、資源が無駄にならないよう有効活用されています。

日本のプラスチックリサイクル率は87%

日本はプラスチックのリサイクル率が2022年時点で87%です。多くが再びプラスチックになるか、ほかの物へと再製品化されています。2017年は82%で、年々リサイクル率は上昇しています。
プラスチックのリサイクル率が上昇するとともに、CO2の削減効果が認められています。これは工業用廃棄物だけでなく、一般家庭から出るプラスチックごみを減らすことも有効な手段です。
またプラスチックの不法投棄による、海や川の汚染、そこにいる生物たちの生態系への影響など、地球全体の問題になっています。プラスチックを使う機会を減らし、リサイクルできるプラスチックは正しく分別しましょう。

リサイクル方法別!プラスチックの再製品化の例

リサイクル方法別!プラスチックの再製品化の例

リサイクル方法は大きく分けて、次の3種類があります。
・マテリアルリサイクル
・ケミカルリサイクル
・サーマルリサイクル

同じプラスチック製品でも、どのようにリサイクルするかによって、再製品化されるものに違いがあります。
リサイクルの種類別の特徴と、何に生まれ変わるのかご紹介します。

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルとは、プラスチックなどの廃棄物を原料として、新しい製品に作り替えるリサイクル方法のことです。
「マテリアル」は英語で「物」を意味しており、廃棄物から物へとリサイクルすることが由来です。物から物へと作り替えるため、リサイクルの時に発生するエネルギー消費や、環境汚染のリスクが低いメリットがあります。
マテリアルリサイクルは、プラスチックの場合そのままプラスチックに再製品化されます。ほかにも、廃棄プラスチックの状態によっては、別の製品にリサイクルすることもあります。

レベルマテリアルリサイクル

レベルマテリアルリサイクルは、廃棄物を同じ製品にリサイクルする方法です。廃棄されたペットボトルを使って、再びペットボトルにリサイクルしたり、古紙を再生紙にしたりと、同じ物にリサイクルすることで資源の節約につながります。

ダウンマテリアルリサイクル

ダウンマテリアルリサイクルは、廃棄物を同じ品質で作り変えられないため、別の分野の製品原料にする方法です。
別名「カスケード」リサイクルとも呼ばれており「階段状に連なった滝」を意味します。
つまり、段階を一つ落として製品化する意味を持っており、たとえばペットボトルを原料の一部に、衣類などにリサイクルする方法があります。

ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルは、廃棄したプラスチックを化学合成して別の物質に変える方法です。化学合成した物質を原料にして、新しい製品が作られるのです。
具体的には、廃プラスチックを溶かすことで、水素や二酸化炭素などの合成ガスを作り、アンモニア製造に使う方法があります。また、二酸化炭素はドライアイスに再利用されるなど、廃プラスチックの性質を活かしたリサイクルが可能です。

サーマルリサイクル

サーマルリサイクルは、プラスチックなどの廃棄物を焼却するときに発生する熱エネルギーを利用した方法です。
プラスチックは原材料としてリサイクルされる割合が高いものの、中にはとれない汚れやカビ、腐敗などで、原材料にできないペットボトルやプラスチックがあります。

これらは償却して、熱エネルギーとして回収するのです。熱エネルギーは温水プールや発電に使われており、電気などのエネルギーの節約に役立っています。

プラスチックは複数の種類がある

プラスチックは複数の種類がある

プラスチックは何を原材料にしているかによって、種類が異なります。
同じプラスチックだからと、処分方法をすべて同じにしていると、実はリサイクルに不向きな種類を混ぜてしまっているかもしれません。
ここではプラスチックの種類別の特徴と、主なリサイクル方法をご紹介します。

ポリエチレン

ポリエチレンは「PE」と表記されており、世界で最も生産されているプラスチックです。炭素と水素原子のみで作り出せる手軽さと、加工しやすい素材のため、さまざまな生活用品に使われています。
たとえば洗剤用のボトル、食品包装、水道管にもポリエチレンが使われています。

ポリプロピレン

ポリプロピレンは「PP」と表記されています。プラスチックの中でも、特に密度が低いという特徴があります。
そのため軽量で、薄く引き伸ばすなどの繊細な加工に向いています。
・食品トレイ
・包装用フィルム
・繊維
・梱包用テープ

ポリプロピレンはフィルム状に加工して、熱同士で癒着しやすい特性があります。
そのため、熱で商品を包装するためのフィルムや小型容器などに使われています。

ポリ塩化ビニル

ポリ塩化ビニルは「PVC」と呼ばれている合成樹脂です。家電、服の装飾、資材など幅広い品物に使われている素材です。
文房具や食品用容器など、生活に密着したものにも使われているほか、医療用の機材、自動車のパーツもポリ塩化ビニルを活用しています。
ポリ塩化ビニルは、マテリアルリサイクルができるためそのまま再資源化可能です。
品質が劣化しづらく、もっともマテリアルリサイクルしやすいプラスチックとして重宝されています。

ポリスチレン

ポリスチレンは食品の梱包材や家電に使われているプラスチックです。マテリアルリサイクルをしやすいプラスチック製品で、緩衝材やパイプなどさまざまな身の回りのものに使われています。
ポリスチレンはケミカルリサイクルにより、ガスや分解油として再利用されています。また、ポリスチレンは熱分解すると、原料にも戻せるためそのままプラスチックに再利用することもあります。

ポリエチレンテレフタレート

ポリエチレンテレフタレートは、「PET」と表記されています。
ペットボトルにも使われているだけでなく、食品トレー、フィルム、磁気テープなどにも活用されています。
再びペットボトルに製品化することが多いほか、ダウンマテリアルによって衣類の原材料に使う場合もあります。

ABS樹脂

ABS樹脂は耐熱温度が高く、家電製品や自転車の車両のパネルに使われています。繊細な加工ができるため、食品トレーや容器だけでなく工業用の部品にも使われています。
一度加工すると変形しづらいものの、70度から100度の高温には弱く、破損の危険性があります。
不純物を取り除いて洗浄して、再度プラスチックとして使うマテリアルリサイクルや、ケミカルリサイクルに活用されています。

プラスチックの分別識別マークとは?

プラスチックの分別識別マークとは?

プラスチックは複数の種類があり、分別識別マークが製品に記載されています。どのような識別マークがあるのか、種類別で解説します。

ペットボトルの指示表示製品

「PET」の識別マークがあるプラスチック製品は、「ポリエチレンテレフタレート」のことで、ペットボトルには「PETボトル」の表記があります。
3つの矢印が三角形に描かれていて、中央には「1」のマークがあるデザインです。「1」はアメリカの「米国プラスチック産業協会」のコードからとった数字です。
これは1993年から飲料やしょうゆ、酒類などのペットボトルへの表記が義務付けられました。
また、2008年からはしょうゆだけでなく、みりん風調味料や酢、ノンオイルドレッシングなど液体タイプの調味料のボトルに幅広く使われるようになりました。

プラスチック製容器包装用

容器包装リサイクル法(容リ法)の方程式別マークは、中央に「プラ」と書かれた四角形のマークです。四角形の部分は2つの矢印で構成されており、「PETボトル」の法定識別と異なる見た目です。
ただし、マークの下にはどこにそのプラスチックが使われているか判別できるように、部位が表記されています。
「PET」は主にボトル、「プラ」は主にキャップやラベルに使われています。この違いはボトル部分とキャップとラベル部分は別々にリサイクルされるため。
ペットボトルのキャップやラベル部分を剥がしてきちんと分別してこそ、ボトル全体が無駄なくリサイクルされるのです。

識別マークがないプラスチック製品もある

識別マークの表記がないものの、プラスチックで作られている製品も多くあります。識別マークがなくとも、プラスチックで作られている製品は基本的にリサイクル可能です。
判断できない物は自治体が発行しているゴミの分別、リサイクルの情報が掲載されている冊子、ポスターを確認しましょう。また、自治体によっては公式ホームページで、ゴミの種類から検索して、分別方法を調べられる方法があります。
市や区役所の環境課に問い合わせるなど、分別に迷うゴミはむやみに処分しないよう注意してください。

プラスチックをリサイクルするときの注意点

プラスチックをリサイクルするときの注意点

リサイクルゴミとして処分するだけでなく、普段からプラスチックを無駄にしない生活を心掛けましょう。
プラスチックをリサイクルするに当たって、注意したい3つのポイントをご紹介します。

自治体の指示に従ってキャップやボトルを分別する

プラスチックのペットボトル容器は、キャップ、ボトル本体部分で分別方法は違う自治体が多くあります。
特に飲み物のペットボトルは、ラベルやキャップをつけたまま処分する方もいるのではないでしょうか?
キャップとラベル、ボトルでリサイクル方法が違うため、自治体の指示の元、同じプラスチックでも部分ごとに分別しましょう。

プラ容器は洗って回収ボックスに出す

食品などのプラ容器は、汚れがついたままだとカビや腐敗の原因になります。リサイクルできなくなるリスクがあるため、汚れがひどい容器はある程度洗いましょう。
調味料のボトルや食品が入っているプラ容器などは、軽く水洗いして分別してください。また、水気が残ったままだとカビの原因になるため、ある程度乾燥させたうえでゴミ袋に入れましょう。

自宅でプラスチックをリメイクする

ペットボトルを洗って水筒がわりにしたり、子供の工作や小物入れなどにリメイクしたりと、プラスチックを有効活用する方法がおすすめです。
プラスチックは軽量で扱いやすく、さまざまな物の代用品になります。プラスチック容器を活用する方法を考えることも、楽しみの一つになるのです。

マイボトルやエコバッグでプラスチックを減らすことも大切

普段からマイボトルやエコバッグを持参して、プラスチックを使う機会そのものを減らしましょう。マイボトルがあればペットボトルを買う機会を減らせるうえ、飲み物代の節約になります。
同じくエコバッグはビニールの消費を抑えられると同時に、繰り返し使えるためプラスチックの節約に役立つのです。毎日の少しの心掛けで、プラスチックごみを減らせるため、普段から意識してみてはいかがでしょうか。

まとめ

分別したプラスチックは、そのままプラスチックとして再利用されています。ほかにも、衣類やビニールなどに再製品化されるほか、燃やした熱エネルギーも無駄にせず暖房などに使われているのです。
プラスチックは生活に欠かせないものですが、石油という資源を消費しています。正しく分別すると同時に、プラスチックの使用料を減らすための工夫を考えましょう。

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